【首相就任1年】17戦6勝、地元・横浜でも大敗 「選挙の弱さ」が致命傷に

「総選挙を先頭に立って戦い抜く」と決意表明する菅首相。各種選挙で苦戦を強いられ退陣を余儀なくされた=3月21日の自民党大会

 菅義偉首相(衆院神奈川2区)は16日、首相就任から1年を迎える。新型コロナウイルス禍への対応に追われる中で、国政の補欠選挙などにとどまらず横浜市長選など地方選挙でも苦戦。その弱さから自民党総裁の任期満了での退陣を余儀なくされた。与党関係者からは「全国各地で信を得られなかったことが致命傷。反省や検証が不足していた」(自民党選対関係者)と自戒が聞かれる。

 「どんなに遅くとも秋までには総選挙がある。私はその先頭に立って戦い抜く決意だ」。菅首相は3月21日の自民党大会で決意を表明。しかし果たされることはなかった。

 この1年で菅政権が重視し取り組んだ選挙は17におよぶが、勝利したのは6知事選のみ。与野党対決構図となった選挙ではことごとく敗れた。

 4月の衆参両院の統一補欠・再選挙では、選挙のきっかけが自民現職の収賄容疑事件という衆院北海道2区で候補擁立を見送り不戦敗。参院広島再選挙も同党現職の買収容疑事件での出直し選とあって厳しい逆風にさらされた。

 このころ、自民党内には総選挙に向けての総括作業や人事刷新を求める声もささやかれた。「しかし、『コロナ対策が最優先』との意見にかき消された」(党幹部)。加えて「事前の情勢調査が悪くなかった都議選や、総理のお膝元である横浜市長選で立て直せるとの希望的観測もあった」(同)とされる。

 だが、コロナの感染拡大に伴う政府への批判増幅を背景に都議選も伸び悩み、自民と公明両党での過半数議席奪還は成らなかった。

 首相の盟友・小此木八郎氏が閣僚を辞して挑んだ横浜市長選は大敗。自民の支持候補が分裂し自主投票となったにもかかわらず、首相は地元タウン誌などで小此木氏への支援を表明していた。結果、「横浜の結果が一地方選にとどまらぬ政局と化し、総理を追い詰めた」(官邸関係者)という。

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