ソニー、カメラ連携クラウドサービス「C3 Portal」発表。スマートフォンからクラウドへの素材転送やメタデータによるコンテンツ管理を実現

ソニーは、パブリッククラウド型のパッケージソリューションである、カメラ連携クラウドサービス「C3 Portal」を2021年11月下旬以降に提供開始する。サービス利用料は、基本パッケージ(テナントライセンスおよびデバイスライセンス5台分など)で135,000円~/月。

C3 Portalは、現場で撮影された素材をスマートフォンを介して効率的にクラウドへ転送できるサービス。新開発のスマートフォン用アプリケーション「C3 Portal App」を使用することで、スマートフォンを経由して対応カメラがクラウドと接続する。

接続後には、収録現場で撮影されたハイレゾ(高解像度)クリップまたはプロキシクリップの高速ファイル転送、メタデータとAIを活用した効率的なコンテンツ管理、プロキシ(低解像度)ベースでの先行編集などが可能になる。即時性が要求される報道用途に加えて、さまざまなコンテンツ制作において、制作に携わる現場クルー、ディレクター、編集者、プロデューサーやクライアントが同時にクラウドへアクセスし、リモートで作業に参加できるとしている。

C3 Portal Appにログイン後、カメラとUSB接続することで、スマートフォンを介してクラウドとの接続を確立。一部の対応カメラでは、カメラのLCDモニター上に表示されたQRコードをC3 Portal Appで読み取るだけで、クラウドとの接続が可能。

また、C3 Portalではスマートフォン内蔵カメラを中継用カメラとして使用できる、別のスマートフォン用アプリケーション「XDCAM pocket」をサポートしており、ソニーの5Gミリ波帯対応デバイス「Xperia PRO」と組み合わせた場合、HDMI入力からのストリーミングも可能だ。

5Gを含む高速なネットワーク通信機能を有している最新世代のスマートフォンと連携することで、ファイル転送の即時性を高めているという。複数台のスマートフォンのモバイル回線を活用した新開発の高速化アルゴリズム「マルチ・モバイル・リンク・トランスファー(MMLT)」により、さらに高速にファイルをアップロードすることも可能。カメラからのファイル転送はバックグラウンドで行われるため、撮影者は個別に転送操作を行う必要がなく、撮影に集中できるとしている。一部の対応カメラでは、チャンク形式でのプロキシクリップの収録にも対応しているため、撮影中クリップのファイル転送も可能。

また、カメラからスマートフォンへのファイル転送は高速なUSB接続で即座に完了できるため、撮影終了後、速やかにスマートフォンをカメラから取り外すことができる。カメラクルーはすぐ次の現場へ移動できるだけでなく、C3 Portal Appを使用して移動中の空き時間にプレビューやファイル転送の継続もできるという。

C3 Portal Appを通じて取材/収録項目名、記者/ディレクター名、撮影者名などのプランニングメタデータを撮影されたクリップと紐付けることにより、クラウド上にメタデータを持つフォルダーが自動的に作成され、ファイル転送される。転送されたクリップはフォルダーのメタデータとリンクされた状態で管理されるため、個別にメタデータ入力を行うことなく、効率的なコンテンツ整理が行える。メタデータは、撮影中や撮影前後を問わず、C3 Portal Appで入力・編集することが可能で、現場のカメラクルーやスタッフが撮影内容を入力する際や、重要なポイントや制限事項を申し送りする際にも活用できるという。

また、ソニーのAIプラットフォーム「Media Analytics Portal」と連携した音声認識エンジンにより、クラウドに転送されたコンテンツの音声を自動でテキストとして文字起こしを行うことも可能。文字起こしされたテキストは、撮影素材の内容チェックや検索などに活用できるほか、メタデータとしても出力可能。

一部の対応カメラからチャンク形式で転送されている撮影中の映像ファイルは、C3 Portal上でプレビュー可能となり、IN/OUT点を指定して、新規クリップとして切り出したり、プロキシクリップで先行編集を行ったりすることも可能。プロキシクリップでの先行編集の結果はカットリストとして出力でき、同時収録されたハイレゾクリップとの再リンクが可能で、現場で撮影しながら迅速に編集作業を開始することができるという。

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