韓国紙「中国が産業技術で韓国を追い越す」「なのに研究開発は官僚的...部署はあるが国家がない」

韓国紙が自国政府の開発政策や安保意識に疑問を呈している。

韓国経済新聞は15日、論説委員であるアン・ヒョンシルAI経済研究所長のコラム『韓国に与えられた運命の時間』を掲載し、韓国の開発政策が国際競争上の岐路に立っていると警鐘を鳴らした。

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アン所長は、米中覇権闘争の最中、中国の技術自立のための動きに注目し、半導体露光装置やチップ製造ソフトウェア、コンピューターOSなど、35の技術で対米自立を計るべしとした中国科学院の主張を紹介した。

このような米・中デカップリングの動きについてアン所長は、「中国の技術自立のうち、いずれが先に来ても韓国には《衝撃》となる」と指摘。李克強首相が産業戦略発表の場で述べた「10年間一本の刀を研ぐ気持ちで邁進する」と述べたことを挙げ、「中国が言うその10年が韓国には《運命の時間》かもしれない」とアン所長は危惧している。

アン所長は「1980年代のアメリカのソ連封鎖政策は韓国に《三低好況》をもたらした」と指摘。(※三低好況:1986年~89年間の低金利、低油価、低ドルによって中進国だった韓国経済を大きく押し上げた現象を指す)アン所長はまた、「日米貿易紛争は、韓国企業が自動車・半導体市場を参入する好機として作用した」と述べるが、同時に「米中の衝突が韓国に同じ幸運を与えるという保証はない」と注意した。

アン所長は「米中の衝突初期にアメリカが中国の(韓国への)追撃を遅らせるという期待は、中国の技術自立意志で揺れている」とし、「半導体市場でも米国・日本・欧州連合(EU)・台湾などが皆ライバルとなった」「素材・部品・装置技術への依存度を見ると、韓国が日本の輸出規制だけを心配している時ではない」と強調した。

その上で、韓国政府が来年に約30兆ウォン(約2.8兆円)規模の研究開発(R&D)予算案を組んだことについては、「省庁別にバラバラにR&D予算を増やして何をしたいのか」と疑問を呈し、国家安全保障への戦略的資源配分が不可欠であり、「失敗の確率は高いが、波及効果が大きい分野に挑戦せずに破壊的イノベーションが起こるはずがない」と批判した。韓国ではR&D予算を官僚が左右していることも弊害であると指摘している。

その上で韓国は「部署」だけがあって「国家」がないとアン所長は危惧した。

アン所長は、「韓国が近代化で日本に遅れをとった事の対価は苛酷だった」としつつ、「中国より先に経済開発を開始していなかったらどういう状況になっていかを考えただけでもゾッとする」と吐露した上で、「中国が10年間一本の刀を研ぐと言っている今、韓国では大統領選挙をめぐる《内部対立》が《外部の脅威》を圧倒している」と懸念している。

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