韓国紙「世界の半導体素材企業が韓国に集結」 専門家「国産化より確実」

ソウル経済新聞は7日、「グローバル半導体・ディスプレイ素材・部品・装置企業が韓国に集結している」とし、米デュポン、ラムリサーチ、日本の住友化学、東京岡工業(TOK)、独メルクなどの生産・研究拠点が続々と築かれていると伝えた。

デュポンは現地法人のカン・サンホ社長がSNSにおいて、デュポン天安工場を訪問したと事実を公開。カン社長は「我々は、世界市場でのCMPパッドの生産能力を拡張し、各地域の顧客とより密接に対応する」と述べた。CMPパッドは、半導体用ウェーハに被せられた薄膜を平らにするCMP工程において必要な素材だ。デュポンは同分野で80%以上のシェアを占める世界1位メーカーだ。

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デュポンに関しては、日本の対韓国輸出規制対象となっているEUV用フォトレジストに関しても韓国現地生産することで韓国政府と昨年合意済みだ。

ソウル経済新聞は「日本のフォトレジスト企業の生産現地化も急である」とし、先日発表された住友化学によるフッ化アルゴン(ArF)フォトレジストの生産設備拡張や、東京応化工業のEUV・ArFフォトレジスト設備の構築について触れた。

同紙は、半導体用CMPスラリーについても言及し、同市場強者であった日立化学を買収した昭和電工が、韓国の生産能力拡張に速度を上げていることや、昨年R&Dセンターの稼働を開始した独メルクもCMPスラリーの開発と量産に力を入れていると伝えた。

ソウル経済新聞は、「米ラムリサーチなど大型の半導体装置メーカーの国内のR&D設備投資はもちろん、半導体装置に入る主要部品のR&D現地化も行われている」と紹介。半導体製造装置部品の世界1位のMKS大田市内のR&D設備を2倍に拡大すると伝えた。

同紙は、世界の半導体覇権争いが熾烈に繰り広げられるなか、これら企業の韓国生産拡大は「サムスン電子やSKハイニックスのサプライチェーンの安定化に少なからず役立つことが期待される」と見通した。

韓国の半導体(ディスプレイ)用素材や部品、装置の国産化については、政府が音頭を取るも投入費用に比べ必ずしも成果が明確でないとの声もある一方、韓国のエレクトロニクス専門家の間では、「技術の国産化よりも技術を持つ外資企業を誘致する方が確実である」との指摘も出ている。

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