島の宝を守れ アマミノクロウサギ 事故多発地帯に防護ネット 世界自然遺産・奄美大島

奄美大島と徳之島のみに生息する国指定特別天然記念物のアマミノクロウサギ

 世界自然遺産に登録された奄美大島で、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故死を防ごうと、大和村の12建設会社でつくる「大和建友会」が16日、村道マテリヤ線に道路への飛び出しを防ぐネットを設置した。環境省によると、事故防止用のネットは徳之島で整備例があるが、奄美大島では初めて。同省は監視カメラを設置して効果を検証する。

 村道マテリヤ線では昨年から今年6月にかけて4件の事故死があり、ボランティアで村内の道路の草刈りを続けている大和建友会が「島の宝であるクロウサギを次世代に引き継ごう」(福本剛敏会長)と設置を申し出た。

 会員24人が発生地点を中心に村道脇約400メートルに、高さ90センチの鳥獣対策用ネットを取り付けた。資材費22万円は自腹で準備した。

 奄美大島では昨年、クロウサギの事故死が過去最多の50件発生。今年も7月末までに23件確認された。世界遺産委員会は7月26日の自然遺産登録時に、地元に事故死対策を求め、環境省は登録直前の同月、多発エリアに防護柵を設置する方針を示していた。

 福本会長は「ネットのメンテナンスや啓発看板の設置など、これからも協力していきたい」と話した。

アマミノクロウサギの道路飛び出しを防ぐネットを設置する建設業者=16日、大和村の村道マテリヤ線
アマミノクロウサギの道路飛び出しを防ぐネットを設置する建設業者=16日、大和村の村道マテリヤ線

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