5連敗でCS危機に瀕する鷹 救援陣の“急失速”を読み解く気になるデータ

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

8月、9月で大きく成績を落としているソフトバンク救援陣

ソフトバンクがCS進出すら危うい窮地に立たされた。19日に楽天生命パークで行われた楽天戦に2-4で敗れ、引き分けを挟んで5連敗に。借金は今季ワーストの4となり、首位ロッテとの差は9ゲーム、3位楽天との差も4ゲームに拡大した。

懸念だったリリーフ陣で、またしても星を落とした。同点で迎えた7回、3番手の岩嵜が決勝点を奪われた。先頭の山崎に中前安打を浴びると、2死三塁で島内に高めの真っ直ぐを弾き返され、最悪の2ランに。打線も楽天を上回る9安打を放ちながら、2点止まりで敗戦。森、モイネロが復帰し、岩嵜を含めた「勝利の方程式」で白星を掴むのが、工藤公康監督の目論見だったが、モイネロにバトンが渡る前にリードを奪われた。

後半戦に入って、救援陣が崩れるパターンが頻発している。森やモイネロが不在だった間、ブルペンを支えてきた岩嵜や板東、怪我から復帰したばかりの甲斐野がつかまり、追いつかれたり、逆転や勝ち越しを許すことが多い。シーズン通しての救援防御率はリーグトップながら、8月はリーグワーストの3.89、9月も4点台に落ち込んでいる。8月、9月の救援陣の“急失速”はどこに原因があるのだろうか。

気になるデータがある。今季、ソフトバンク救援陣の総登板数は、18日終了段階で366登板(114試合)だった。ロッテは358登板(112試合)、オリックスは344登板(115試合)、楽天は340登板(114試合)となっており、優勝争いにいる4球団の中でロッテとともに多くなっている。

総登板数は多いが、対戦打者数は少ない鷹の救援陣

さらに、ソフトバンクは救援投手の一登板あたりの平均対戦打者数が3.8人、平均球数が15.4球となっている。これはロッテの4.3人、16.9球、オリックスの4.1人、16.5球、楽天の4.4人、17.4球よりもかなり少ない。登板数が多い上に、投球数や打者数が少ないということは、それだけ小刻みな投手運用を行っているとも取れる。

チームトップの登板数は嘉弥真の51試合だが、8月31日の登板が最後に登録抹消となった。津森も42試合に投げているが、こちらも8月29日が最後の登板。チームで4番目の登板数である31試合に投げた泉は6月22日が最終登板で、開幕から3か月足らずで30試合超を投げた事になる。泉と同じ31登板の板東は6月だけで11試合、8月は14試合中半分の7試合で登板している。

森やモイネロといった柱を欠いたことで、一部のリリーフ投手の負担が大きくなっていたことは否めない。また、負担がかかるのは、登板した時だけではない。登板数以上に、ブルペンで出番に備え肩を作る機会があり、これも大きな負担になる。継投が小刻みになれば、その分、投手が準備する機会は増える。そうしたしわ寄せが、終盤に来て救援陣を襲っているのかもしれない。

また、甲斐野や岩嵜も怪我明けや不調での抹消から復帰したばかりで、明らかに本来の姿ではない。投手が抑えても不調続きの打線がリードを奪えない、リードしても投手陣が踏ん張れない。そんな投打の歯車が噛み合わない悪循環に陥っているソフトバンク。CS進出圏も遠のく苦境を抜け出す手立てはあるのだろうか。(Full-Count編集部)

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