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長崎県平戸市新町の森酒造場(森幸雄社長)が今春の新酒として造った日本酒「飛鸞生酛造(ひらんきもとづく)り60」が、フランスで7月に実施された鑑評会「クラマスター」で、最上位のプラチナ賞に次ぐ金賞を受賞した。「飛鸞-」は5月の英国での鑑評会でも、最上位賞に次ぐ金賞を受けた。
クラマスターは2017年から開催。主に日本酒を対象に、フランス国内のトップソムリエらが審査するコンクール。今年は312蔵から960銘柄が出品された。
森社長の長男で、同社専務兼杜氏(とうじ)の雄太郎さん(31)が江戸時代の製法、生酛造りを同社で初めて導入。蔵の新たな挑戦を客観的に評価してもらおうと海外の鑑評会に出品した。
現在の酒造りでは精製した乳酸を使うのが一般的だが、生酛造りは、乳酸菌が自然につくる乳酸を使う。完成まで30~40日と、通常の酒造りの倍以上の期間が必要。長期間にわたって気候変化に対応するなど繊細な管理が欠かせないため、取り入れている酒蔵は少数派となっている。
雄太郎さんは広島大で発酵工学を専攻。大学近くの独立行政法人酒類総合研究所でも酒造りの研究に没頭した。大学卒業後、宮城県内の有名酒蔵で3年間、修業。17年に帰郷し、家業を支えている。
雄太郎さんは「より自然で安心な酒造りを目指した。今回の受賞で普段から、応援してくれているお客さまが喜んでくれればうれしい。これまで以上に良い酒を造れるよう努力したい」と決意を新たにしている。
同社は10月に新酒造りに向けた仕込みを開始。雄太郎さんは今期も生酛造りに挑戦する予定だ。