メリットがあるのはユーザーとディーラー双方だった! 特別仕様車って本当にお買い得なのか?

人気車種を中心に、「特別仕様車」が設定されることがある。販売期間や台数を限定して販売されるモデルで、本来オプションとして装備されるパーツやアクセサリーを標準で装備していたり、オプションでも設定できないボディカラーやパーツ、アクセサリーを装備していることもある。お買い得なイメージが強いが、本当にお買い得なのだろうか。

日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV 特別仕様車「アーバンクロム」[C27型・2020年12月17日発表・2021年1月14日発売] [Photo:NISSAN]

拡販狙いの人気モデルや記念モデルなどに設定される

そもそも特別仕様車が設定されるクルマにはどんなものがあるのだろうか。

基本的には人気モデルで買い得感をだし商品力を高めることでさらなる拡販が狙ったり、新車効果による販売が下がってきたタイミングで新車として登場してから数年経過したモデルなど、販売のテコ入れを行いたい車種に設定されることが多い。また、記念モデルや旧モデルの在庫処分のために設定されるケースもある。

クルマの価格設定は難しいもので、デビュー時より値下げしてしまうと中古車価格や買取価格の下落につながってしまう。古くなったから、売れないからといって価格を下げにくいのだ。そのため、特別仕様車を設定して、新グレードを用意することで価格を下げ、買いやすくするという意味もある。

多くの場合、安価なグレードに上級グレードの装備を備えていたり、一番売れているグレードに特別仕様車が設定される。

販売期間や台数が限定されていることもあるが、国産車ではカタロググレードの一つとして長く設定されることもある。また、例えばトヨタのミニバン「ヴォクシー」の“煌(きらめき)”シリーズのように販売の中心となるほどの人気を得たことから、特別仕様車として定期的に登場するものも多い。

さらにはヴェルファイアの「GOLDEN EYES II」のように、特別仕様車がいつしか正式なカタロググレードへ昇格するケースもまれにあるのだ。

特別仕様車としながらも長く売られるモデルもある

装備内容が必要なものであれば買い得感も高い!

特別仕様車を選ぶ際には、装備内容に注目したい。本来のグレードに設定されていたはずのオプションが選べなくなったり、割安な価格で装着されていても使用用途に合わなければ不要な装備にお金をかけることになる。また、ボディカラーやインテリアカラーにも専用色が用意され、本来のグレードで選べたボディカラーが選択できなくなっていることもあるため、注意が必要だ。

専用ボディカラーが用意されることもある

ディーラーとユーザー双方にメリットがある

販売側としては、特別仕様車はメリットばかりだ。ボディカラーや選べるオプションが制限されていることが多いため、商談に手間がかからないことに加え、メーカーとしても見込み生産ができる。

また、特別仕様車は本来ついていないオプションなどが設定されて買い得モデルとなっているため、値引き交渉は難しく、値引き額が少ない傾向にあるのも特徴。ただ、期間や台数を限定しているモデルでは、リセールバリューが高くなることも多い。欲しいクルマに設定されていれば、一考の価値はあるだろう。

【筆者:MOTA編集部】

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