巨人・中田翔が “最短” 一軍昇格 逆転Vのキーマンに「主砲・岡本再生」ともう一つの使命

一軍合流へ、20日に新幹線で広島入りした巨人・中田

最短での一軍再昇格となった巨人・中田翔内野手(32)に2つの「裏ミッション」が課せられた。今月11日に再調整のため二軍落ちとなった中田が21日の広島戦(マツダ)から一軍復帰。打率1割5分、1本塁打と不振だった打棒が阿部慎之助二軍監督(42)、長嶋茂雄終身名誉監督(85)らの指導によりV字復活。自身のバットは当然ながら、それ以外の部分でも背番号10への期待は大きいという。

阿部二軍監督によるマンツーマン指導で下半身を徹底的に鍛えられた中田は、打撃の調子が一気に向上。二軍6試合で22打数11安打の打率5割、4本塁打、13打点と驚異的な数字を残した。

もちろん一軍と二軍では投手のレベル差は大きいが、原監督は「結果がまたすぐ出るかというのはともかくとして、吹っ切れたものはあるみたい。ミスターに見てもらったのも良かったんだろうし、なんでも、栄養にしないとね」とゴーサイン。21日に最短の10日間で出場選手として登録することを決めた。

基本線は「5番・一塁」での起用。24日から天王山となる阪神3連戦(東京ドーム)も控えているが、勝負どころでの中田合流には2つの狙いが隠されているという。

1つ目は37本塁打、100打点と現在セ打撃2冠の4番・岡本和真内野手(25)の再生だ。11日の中田離脱後、岡本は7試合で27打数4安打の打率1割4分。本塁打もわずか1本と、好調だった打撃に急ブレーキがかかった。

9月は4勝8敗3分けとチームが苦しむ中、目立ってきたのが自分が決めなければとボール球に手を出すシーン。「5番が本塁打の少ない亀井や中島なら、岡本和にわざわざストライクで勝負する必要はない。クサいところにボール球でいい。不調とはいえ昨季31本塁打で一発の恐れのある中田が後ろにいれば、簡単には歩かせられない」とライバル球団関係者は指摘する。

実際、中田が5番に座った12試合で岡本和は5本塁打を放っている。中田離脱後は7戦でわずか1本塁打。さらに7三振と三振数が増えていた。〝中田効果〟で勝負が増え4番の打棒復活となれば、逆転Vへの大きな力となる。

2つ目は現在の中田が持つナゾの「ツキ」だ。中田が11日に二軍に合流すると10連敗中だった巨人二軍の連敗がストップ。さらに中田の出場6試合に全勝したが、中田が欠場した20日の二軍ヤクルト戦(G球場)は4―14と大敗した。中田の打撃が二軍に勝利をもたらしたのはもちろんだが、ここまで勝ち負けがはっきり分かれると背番号10には幸運を呼ぶ何か不思議なパワーがあるのではと思ってしまう。

一方、9月に入り一軍にはツキもない。14日のDeNA戦(東京D)では好投していた山口が7回途中に突然、危険球退場。18日のヤクルト戦(東京D)では先発メルセデスが初回に2度打球に当たるなど不運が続いている。原監督は2回に相手のミスもあり一挙7点を奪った19日の阪神戦(甲子園)後「非常にツキもあったと思います。そこをつけ込むことができたのが、あのビッグイニングにつながった」と運の大切さを強調していた。

中田の〝強運〟が一軍に波及するかどうかに、巨人のリーグV3のゆくえがかかってきそうだが、果たして…。

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