韓国農業紙「シャインマスカットは相場暴落も...農家は危機感」「次も日本品種で備えている」

韓国の果樹農家で「ポスト・シャインマスカット」の動きがあるようだ。シャインマスカットは、元は日本で開発された品種だが、日本側が輸出を想定せず海外品種登録をしなかったことから、韓国果樹農家がこぞって生産に乗り出し、海外輸出も盛んに行っている。

参考記事:韓国放送局「シャインマスカットは韓国が栽培技術を確立した」「日本は難しくて登録諦めた」

韓国の農民新聞は15日、イ・ギュフィ記者の記事『新品種生産農家の努力が日の目を見るには』を掲載し、シャインマスカットの次を見越した新品種生産が着々と進められていると伝えた。ただし、簡単ではないようだ。

イ記者は、「シャインマスカットは、今回の旧盆でも高い人気を見せているが、産地では、勢いに乗っている今こそ、将来に備えなければならない時だという共感が形成されていた」とし、「高い相場の中で、栽培面積が毎年急増しており、このままでは今後相場が暴落する可能性があるとの危機感からだ」と伝えた。

実際、シャインマスカットについては、すでに品質のバラツキや値崩れが発生しているとの韓国メディア報道も出ている。

(画像:ブラックサファイア)

イ記者の取材によると、一部のブドウ農家ではすでに数年前から新品種が試験栽培されているという。品種は「ブラックサファイア」「ステラ」「ルビーロマン」などだ。イ記者は、これら農家が減収を甘受してでも新たな道を開拓しようと奮闘していると伝えている。

ただし、新品種の開発は簡単ではないようで、イ記者によると、産地流通関係者は「新品種が市場に安着するまでの過程を《山越えてまた一山》と表現した」と述べたという。

既存の品種と異なり十分な生産量を得るのが難しいことに加え、生産しても販売するのが最も難しいという。品種の市場性が落ちて淘汰される場合もあるが、ほとんどは広報と販路の確保に苦戦するとの関係者談をイ記者は伝えた。

その上で、「果樹農家が新品種を栽培して収入を上げるまで4〜5年に近い歳月が必要である。農家の時間と労力が水の泡されないようにする広報案の導入が切実だ」とイ記者は指摘している。

同じく韓国メディアである農漁民新聞(13日)も韓国農家の「ポスト・シャインマスカット」の取り組みについて報じており、試験栽培中の<マイハート>について取り上げた。

(画像:マイハート)

同紙は、「マイハートは、日本で育成された品種で、シャインマスカットとウィンクの品種を交配したことが知られており、名前のようにハート形のブドウである」とし、シャインマスカットの香りと味を持つことを強調した。「農家の間では、病虫害に強く、収穫量が多いとの評価を受けている」伝えている。

その上で、「最近、国内でもぶどうの形、色、味などのさまざまな品種が続々と登場しており、農家も品種を選択するために注意しなければならない」との農場経営者談を伝えた。

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