米紙「韓国のテック叩きは中国と似てるが、財閥は避ける」「習近平は大物でも躊躇しない」

ブルームバーグが韓国と中国の「ビックテック叩き」の共通点を指摘しつつ、韓国は財閥には手出ししないが、中国は大物でも躊躇なく叩くのが異なる点であると分析している。

参考記事:韓国経済紙「海外投資家の脱韓国が本格化」「中国依存が高く株価も引きずられ」

中国政府は最近、ビックテックやゲーム、教育、芸能産業などの様々な分野への規制を高めている。昨年は中国テック界の大物、ジャック・マー=アリババ創業者が中国金融当局の規制を批判した後にアリババグループの系列会社アントグループの上場が中断された。また、中国当局の引き止めを振り切りニューヨーク証券取引所に上場した車両共有メーカー「滴滴出行」は上場廃止が検討されている。テンセントは、メッセージングアプリ「微信」のライバルであるアリババのアリペイを使用できるよう変更された。

韓国でも、先月31日、GoogleやAppleのようなグローバルアプリマーケット事業者による自社決済システム使用(アプリ内課金)の強制を防ぐ「電気通信事業法改正案」(別名、Google下請けいじめ防止法)が国会を通過した。これまでビッグテック企業はアプリ内課金を通じて、アプリの購入時15〜30%に近い手数料を課し、大きな利益を得ていたというのが理由とされる。さらに、韓国公取委は14日、グーグルがOSで支配的地位を乱用しているとし、194億円の罰金を課した。一方で、与党幹部は韓国のプラットフォーム企業であるネイバーやカカオについても、小売りなど「街角商圏」を脅かしているとし、規制の可能性に言及した。

このように、中国と韓国は、どちらも産業界への規制を強めており、内外メディアなどでは「韓国の中国化」を危惧する記事がいくつも出ている。しかし、ブルームバーグは、その共通点を認めつつも、韓国の伝統的な強者である財閥企業に対しては、政府は手を付けないとの見方を示している。

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ブルームバーグは15日に掲載した分析記事において、中国と韓国には大きな違いがあると皮肉っている。中国が締め付けているアリババとテンセントの場合、中国の経済をも左右する世界的な企業である一方、カカオらは韓国社会では広く手掛けているものの、中国やアメリカのビッグテック企業に比べて規模はもちろん、影響力も微弱であると指摘。

ブルームバーグは韓国の財閥問題を取り上げ、サムスンやLGに比べるとカカオやネイバーは微々たる存在であると規定した。韓国政府は、カカオ、ネイバーなどの若いプラットフォーム企業を規制する方が、伝統的強者である財閥企業との利害関係を解消することよりもはるかににやりやすいと感じているはずだとブルームバーグは分析している。それとともにイ・ジェヨン(李在明)サムスン電子副会長が仮釈放されたことに言及した。

ブルームバーグは、中国の習近平国家主席が、大物を攻撃するのに躊躇がないのに対して、韓国の規制当局はこれに消極的だと指摘した。アリババの場合、企業価値が8600億ドルに達したが、規制によってその半分が消滅したとされる。

ブルームバーグは、韓国の規制が中国と違うのは、財閥との争いは避けたいというものであると強調した。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「韓国の大企業は輸出の相当部分を責任持つが、カカオは輸出が無く、ひたすら街角商圏の侵奪のみで成長している所が違う。それが今回の規制の核心だろう」

「カカオは規制しないとね。ネイバーなんやかや開発してるけど、カカオは中間商人を一人増やす程度しかしない」

「タクシー(配車)はカカオがほぼ独占だから、政府が一定の部分規制のナイフを突きつける余地があるが、銀行や飲食などの領域は、今も企業間の熾烈な競争が繰り広げられており、その分消費者が利益を見る余地が大きいが、こんな領域まで規制するのは市場経済を破壊することではないか」

「記者は正気なのか?汚れた現実だが、大企業が崩れると経済も難しくなる。米国が愚かだから量的緩和したのか。ところが習近平は、本人の独裁のためだけに大企業を掴もうとしている。奇妙な口調で記事を書いてるよね」

「記者さんよ。もう少し考えを持って記事を書け。独寡占の弊害を是正するのと国家主導共産政権による企業占拠を同じにするな」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

参考記事:韓国紙「日本企業は中国と協力しつつ警戒も怠らず」「米側立つ政府と異なり、生存戦略着々」

参考記事:韓国紙「海外紙が韓国の中国化を心配してる」「社会主義呼ばわり…悲しいこと極まりない」

参考記事:韓国経済紙「日本の株式市場好調なのに韓国は資金流出」「文政権の中国化を市場が懸念」

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