広島・床田が後半戦 “無双” プロ初完封を達成するまでに積み上げた「信頼」

試合後、会沢(右)と笑顔で握手を交わす広島・床田(東スポWeb)

悔しさを力に変えた。広島は21日の巨人戦(マツダ)に2―0で快勝。ヒーローは先発の床田寛樹(26)だ。6安打完封でチームの連敗を2で止めた。プロ5年目の床田は2019年4月のDeNA戦以来2度目の完投で、完封は自身初。

粘りに粘った。初回こそ三者凡退も、2回以降は毎回のように走者を背負った。3回には二死一、三塁のピンチを招いたが、得点は許さなかった。先制の適時打を放った同級生の鈴木誠とお立ち台に上がり「勝てて良かったです」と笑顔を見せた。

苦しいシーズンだった。今季初登板で勝利して以降、勝ちから遠ざかった。そして6月に二軍降格。8月29日の阪神戦で一軍昇格し、2勝目を挙げた。ただ、この試合は6回79球で無失点のまま降板したこともあり、満足できなかった。

「(もっと投げたい)気持ちは正直ありました」という床田は「今は自分の信頼度が低いので」。それでも「こういう投球を続けていくことで『次の回行ってみよう』となると思う。いい投球を続けていきたい」と前を向いた。そしてついに9回のマウンドに。本来なら守護神・栗林が登板する場面だが、信頼をつかんだ証しだ。

「最後、絶対締めると思って、初回のつもりで全力で投げました」

リーグ戦再開後はこれで3勝1敗。29回を投げて失点はわずか3と抜群の安定感を誇る。佐々岡監督は「連戦中で(東京からの)移動試合。長いイニングを投げてくれて良かった」と目を細めた。左のエースに名乗りを上げた。

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