基準地価 長崎県内447地点 変動率プラスが増加 再開発地域など需要伸びる

本県地価調査 平均価格と変動率

 長崎県内の住宅地、商業地など計447地点の基準地価は、変動率がプラスになった地点が住宅地で78(前年49)、商業地で42(同29)とそれぞれ増えた。新型コロナウイルス禍の影響が出始めた前年は、土地取引に様子見の動きが広がったが、今年は宅地造成が進む地域や再開発への期待が高い地域を中心に需要が伸び、昨年よりコロナの影響は弱まっている。
 住宅地の変動率は、マイナス1.0%。下げ幅は前年から0.2ポイント持ち直した。上昇幅が拡大、または下落幅が縮小した上昇基調の市町が、前年の2から19市町に増えた。
 最高価格は長崎市上西山町の1平方メートル当たり25万円で33年連続。上げ幅のプラス5.9%も県内最大だった。下落率の最大は五島市奈留町のマイナス5.3%。人口減や高齢化が深刻で、需要は少ないという。
 商業地はマイナス0.8%で、2年連続の下落ながら下げ幅は前年から0.1ポイント縮小。上昇幅が拡大、または下落幅が縮小した上昇基調の市町が、前年の4から13に増えた。
 最高価格は7年連続で長崎市浜町の同94万4千円。最も上昇した地点はJR長崎駅近くの同市恵美須町でプラス8.5%。最も落ち込んだのは新上五島町奈良尾のマイナス5.8%。
 市町別では、長崎市の商業地の上昇幅が前年から0.1ポイント縮小。JR長崎駅周辺の再開発や幹線道路沿いのマンション用地などの需要が地価上昇をけん引する一方、コロナ禍で人出が戻らない歓楽街や観光施設に近い地域は落ち込んだ。佐世保市は、好立地の住宅地、佐世保駅周辺や中心商業地が堅調で、下落幅は住宅地、商業地それぞれ縮小。両市とも斜面地にある住宅地は需要が弱く、二極化が進んでいる。
 人口が増加している大村市は住宅地、商業地ともに上昇傾向が続く。諫早市は下落幅がそれぞれ縮小した。JR諫早駅前や中心部商店街の再開発が要因。西彼時津町、長与町、北松佐々町は住宅地人気が高く地価の上昇が続いている。
 東彼波佐見町の住宅地は2001年から下落していたが横ばいに転じた。分譲地に佐世保市南部の人口が流入する動きがあり、県央、県北地区を担当した山本潤二不動産鑑定士は「同市より割安で、佐々と同じベッドタウン化の傾向がうかがえる」としている。

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