東京五輪バスケットボール男子日本代表で、1次リーグ全3試合に先発した田中大貴(A東京、長崎県雲仙市出身)。日本男子が45年ぶりに立った五輪のコートで掲げた「1勝」はならなかったが、大舞台で確かな成長の跡を示した。その経験をプラスにした30歳のオールラウンダーが臨む6年目のBリーグ。30日の今季開幕戦を前に、五輪の感想や今季の意気込み、B3に参戦する長崎ヴェルカへの期待などを語ってもらった。
-東京五輪の感想を。
やっぱり特別な大会だった。オリンピックという舞台のすごさを肌で感じられた。一アスリートとしてだけじゃなく一人の人間として、ああいう経験は誰もができることじゃないので。出てみてあらためて素晴らしい大会だと思った。
-結果は全敗だったが、2019年ワールドカップ(W杯)からの成長も口にしていた。
代表活動に参加しだした(12年)ころは、オリンピックで日本の男子が戦っている姿は想像できなかった。どんどん前に進めているのかなと思う。厳しい結果にはなったけれど、この経験を次に生かさないといけない。23年は日本もW杯の会場になるし、その翌年はパリオリンピックがある。今までと違って、そこで戦えるだけの力が日本にはあると思うので、つなげていくことが重要。
-自身のプレーを振り返って。
普段(シューティングガード)と違うポジション(ポイントガード)で試合に出たということもあって、いろいろと複雑な思いが残った。いい経験ができたことは間違いないし、あの舞台でのプレーが自分が持っているすべての力だと思う一方で、物足りなさや悔しさもあった。
-主将としての難しさもあったのでは。
特に何もしていないんですけどね…。今季はチームでも主将をやることになったので、今回の経験を生かせればと思うけれど、ここまでのレベルになってくると、一人一人の意識は高いし、あまりやることは多くないかもしれない。ただ、少なくとも、自分の取り組みでチームを引っ張ることはやっていくつもり。
-今季の意気込みを。
昨年はけがなどもあり、難しいシーズンを送った(東地区6位)。まずは、その悔しい思いを結果につなげたい。それが自分のモチベーションにもなっている。一番強いチームになりたい。優勝した時の達成感や喜びはすごくいいものがある。経験しているからこそ、何回も味わいたい。常にそこを目指してやっているので、今季は何とか達成したい。
-長崎にもチームができて、今季からB3に参戦する。
自分の地元にチームができて、素直にうれしいし、盛り上がってほしいと思っている。
-長崎ヴェルカの伊藤拓摩監督は以前、A東京でも指揮を執っていた。どんな印象だったか。
海外などでさまざまな経験を積んで、バスケットに対して強い思いを持っている。チームがスタートするには素晴らしい人が監督になったと思う。ご本人と話す機会があって「すごく楽しみ」と言っていた。すぐ強いチームにしてくれそう。
-古里の皆さんへ。
長崎で盛り上がっていくためには、地元の人たちに応援されるチームでなければいけないと思う。まずは長崎ヴェルカを応援していただいて、その残りのかすかなスペースで長崎出身の自分のことも応援してもらえたらうれしい。自分は長崎の人たちから、帰ってきて地元のチームでやってほしいと思われる選手になれるように、これからも頑張って力をつけていきたいので見ていてほしい。