300勝を達成する投手はもう現れないのか 200勝は現役3人だけ

日本時間9月21日のブリュワーズ戦でジョン・レスター(カージナルス)が現役選手ではジャスティン・バーランダーとザック・グレインキー(ともにアストロズ)に次いで3人目となる通算200勝を達成した。以前ほど投手の勝利数が重視されなくなっているとはいえ、200勝の大台に到達するには長期間にわたって第一線で活躍することが必要であり、やはり偉大な記録であると言える。しかし、投手の起用法の変化もあり、通算300勝に迫る投手は久しく現れていない。300勝を達成する投手はもう現れないのだろうか。

通算成績のマイルストーンに到達するためには、長期間にわたって健康にプレーすることが求められる。現在37歳のレスターはメジャーデビューした2006年のガンを乗り越え、16年間にわたってメジャーでプレー。11度の2ケタ勝利をマークした。先日通算3000奪三振を達成し、通算190勝をマークしているマックス・シャーザー(ドジャース)は「(メジャーリーガーなら)誰もが3000奪三振を達成する能力を持っているんだ。でも、それを達成するだけの耐久性がない」と長期間にわたって第一線で活躍することの難しさを口にする。

以前は通算300勝が「投手が殿堂入りするための条件」として語られることもあったが、300勝を達成した投手はメジャー史上24人だけ。2009年にランディ・ジョンソンが達成したのを最後に300勝投手は現れていない。先発投手がほとんどの試合で完投していた時代や先発ローテーションを3~4人で回していた時代とは異なり、通算300勝どころか200勝を達成する投手すらも貴重な存在となっている。

マウンドの高さが現行のものに統一された1969年以降にデビューして通算300勝を達成した投手はロジャー・クレメンス、グレッグ・マダックス、トム・グラビン、ジョンソンの4人だけ。いずれも1980年代にデビューした投手であり、1990年代以降にデビューした300勝投手は存在しない。メジャーリーグ公式サイトのアンドリュー・サイモンとサラ・ラングスはこうした事実を踏まえ、「投手の起用法や全体的な傾向を考えると、300勝の代わりに200勝が新たな目標となるだろう」と主張する。

近いうちに通算200勝を達成しそうな投手は190勝のシャーザーと185勝のクレイトン・カーショウ(ドジャース)の2人。183勝のアダム・ウェインライト(カージナルス)は現在40歳だが、来季の現役続行を明言しており、200勝の大台に到達する可能性を残している。このベテラン3人を除くと、最有力候補と言えるのはゲリット・コール(ヤンキース)だが、まだ116勝。大台到達にはあと5~6年かかるだろう。近い将来、200勝投手すら誕生しない時代が訪れることになるかもしれない。

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