箱根園水族館のウミガメ、海の環境守る昆布をパクパク

アオウミガメに昆布を与える島本飼育長=17日、箱根園水族館

 海洋環境の保全につなげようと、箱根園水族館(神奈川県箱根町元箱根)は、海水中の二酸化炭素(CO2)削減のために栽培された昆布をアオウミガメの餌として活用している。同園は「海洋生物を通して環境問題へ関心を持ってもらえたら」と期待する。

 餌として活用する昆布は、一般社団法人「里海イニシアティブ」が栽培、提供している。同団体は海洋保全を目的に、海水中のCO2を吸収する効果のある昆布を栽培し、有効活用に向けた普及活動をしている。同園のアオウミガメが昆布を食べている映像を見た団体メンバーが同園へ連絡したことをきっかけに、世界海洋デーに合わせた今年6月から、昆布の提供を始めた。

 同園の島本大樹飼育長によると、同園では3匹のアオウミガメを飼育。現在は以前から与えるキャベツなど葉物野菜に加え、1日1回400グラムほど新鮮な昆布を食べさせている。アオウミガメの本来の食性は海藻類といい、「昆布を与えてから、食べるときに(水槽内の)砂をのみ込み、詰まってしまうことが減った。カメの体調にもいい効果があるのでは」と話している。

 17日、同園でアオウミガメの餌やりを見た親子は「限りある地球の資源について考えるきっかけになった」と水槽にくぎ付けになっていた。園内には廃プラスチックを海洋生物が誤飲する実態を伝えるコーナーも設け、海洋環境問題について啓発している。

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