ソフトバンク・工藤監督が来季続投へ ファンから厳しい声も基本方針変わらず

ロッテに勝利しスタンドに手を振る工藤監督

5年連続の日本一を目指しているソフトバンクが、このまま〝Bクラスフィニッシュ〟でも、工藤公康監督(58)の来季続投を基本方針としていることが分かった。23日時点で借金1の4位。残り25試合で首位・ロッテとは7ゲーム差、CS圏の3位・楽天とは2ゲーム差という戦いが続いている。常勝軍団だけに鷹ファンからは首脳陣に向けた厳しい声も噴出しているが…。球団サイドに揺るぎはない。

工藤ホークスがまさかの戦いとなっている。前半戦を勝率5割フィニッシュ。後半戦に入っての本領発揮が予想されたが、ここ3試合を3連勝と、上向きかけてはいるものの、直近10試合では3勝5敗2分けと苦しい戦いが続いている。

名実ともに常勝軍団と化したからこそだろう。この状況に鷹ファンからは厳しい声が噴出。16日には孫オーナーが「攻めよ。勝ちたいなら」とのツイートを発信した。これまでにも汎用性のある〝金言ツイート〟は何度もしており、勝負どころの本業へのメッセージとも受け取れるが、試合中だったため〝苦言〟と捉えられて大きな話題も呼んだ。

ファンの声が人事に影響を及ぼす球団も少なからずあるが――。では、鷹サイドはどのように考えているのか。結論から言えば、工藤監督への評価は一切、揺らいでいない。かねて球団フロントは「1年の結果だけで監督をコロコロと変えるような短絡的なことはしない。それこそチームがとんでもないことになる」と口にしており、昨年V4達成時の「あと2年でも3年でも」との声に変化はないという。最終的な結果に関係なく、工藤監督の来季続投を基本的な方針として戦況を見守っている。

前任の秋山監督が3位→優勝→優勝(日本一)→3位→4位とBクラスに転落した時は、補強のバックアップで翌年の優勝(日本一)返り咲きにつなげた。その翌年から指揮を執った工藤監督は、優勝(日本一)→2位→優勝(日本一)→2位(日本一)→2位(日本一)→優勝(日本一)。ここまで6年でシーズン2位を下回ったことはなく、5度の日本一という圧倒的な成績を残している。短期決戦で異常なまでの強さを発揮してきた采配への評価も高い。

今季は故障者が続出しており、実際の選手コンディションなどの事情も含めて、苦しいチーム状態はフロントも把握している。球団首脳はフロント側の指針として「けが人は必ず出るし、選手は1歳ずつ年を重ねていく。それらを見越した上でチーム編成をしないといけない」とも語っている。仮にこのまま悔しいシーズンに終わったとしても、現場とフロントが一体となっての工藤体制での〝リベンジ〟が、まず目指すべき形というわけだ。

もっとも、工藤監督は契約最終年にもなる。球団としては続投を望みながらも、秋山前監督が家族の事情で退任という選択肢を取ったように、最終的には工藤監督の意志が大前提としてある。今は指揮官がシーズンに〝全集中〟している状況だけに静観の構え。可能性が残る5年連続の日本一に向けての大逆襲に熱い視線が送られている。

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