2団体が相次いで新潟県の花角英世知事に医療に関する要望書を提出

花角英世知事に要望書を提出する糸魚川市の米田徹市長(地域医療連携推進協議会長)

24日、新潟県の花角英世知事のもとに医療に関する要望書が相次いで提出された。

妙高市、村上市、小千谷市、糸魚川市、佐渡市、柏崎市で構成する地域医療連携推進協議会(会長=米田徹糸魚川市長)は、各市の市長(妙高市は副市長が出席)にJA厚生連の田中代表理事理事長、糸魚川氏健康推進課とともに、花角知事を訪問し、「新潟県の地域医療施策に関する要望書」を提出した。

同協議会は、地域の生命線である地域医療の基幹的役割を担うJA新潟厚生連参加の病院が安定的な経営基盤を確保し、地域に密着した質の高い医療を提供し続けなければ、地域そのものが崩壊しかねないとの強い危機感のもと、6人の市長が設立。新潟市、長岡市、上越市、三条市、阿賀野市もその活動に賛同している。

6市長ら8名が集まった

要望書には、(1)新型コロナウイルス感染症を踏まえた医療提供体制の構築について(2)新潟県内の公的病院が果たす役割を踏まえた財政支援の強化について(3)医師・看護師等医療従事者の確保についてーの3項目を明記。

新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない医療機関への支援、受診控えなど経営悪化が続く医療機関に対する支援を、地域医療の最後の砦として役割を果たす厚生連病院に大使、公立病院と同等の支援について、県から国への働きかけを要望した。

花角知事との面談を終えた米田市長は、「県立病院は県の支援があるが、厚生連は厳しい財政の市が支援している。公的資金が厚生連に行き届いていない状況で、各市の連携と、県にお願いして何とか支援をお願いしたい。厚生連病院には、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種では最前線で頑張ってもらっている。県の地域医療においても重要な組織団体だと捉えて、新潟県の発展のためにも支援をお願いしたい」と話した。

米田糸魚川市長らの訴えを真剣に聞く花角知事

一方、午後には日本労働組合総連合会新潟県連合会(連合新潟)が花角知事を訪問し、「医療再編に関わる要望書」を提出した。

花角知事に要望書を渡す連合新潟の牧野会長

2023年開院予定の県央基幹病院(三条市)は、指定管理者に「社会福祉法人恩賜財団済生会」が決定している。要望書では、燕労災病院と三条総合病院の職員が協力して働くこととなる同病院を、双方の職員が十分に力を発揮できる職場環境とすることを求めた。

また、医師・看護師などの採用計画を早期に示すこと、賃金や労働条件および福利厚生制度の計画や検討状況などの詳細を早期に示すこと、その水準は燕労災病院を含む新潟県立病院と同等以上とすることなども明記した。

「我々の話に理解を示してくださったと思う」と連合新潟の牧野茂夫会長(左から3人目)

連合新潟の牧野茂夫会長は、「県内人口の減少、高齢人口の増加などに対応し、誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるためにも医療体制の整備は喫緊の課題。連合新潟として、地域住民や医療従事者の不安を生じさせない、または生じた不安は解消するよう求め、要請を行いたい」と、要望書提出の経緯を説明。

さらに、「燕労災病院と三条総合病院の職員からの応募があれば全員採用することを指定管理者を決める際に済生会さんと約束しています。民間が運営する病院ということで、待遇を明らかにしながら採用計画をし、雇用問題の不安を解消したい」と話していた。

(文・太田広美)

© にいがた経済新聞