巨人3連敗…攻撃力アップのカギは〝岡本個人軍〟からの脱却

巨人の得点力は4番・岡本和だけに集中している(東スポWeb)

3位巨人は28日の中日戦(バンテリン)に競り負け、2―5で3連敗を喫した。終盤にリリーフ陣が打ち崩されたが、深刻なのは得点力不足から抜け出せない打線だ。自力優勝の可能性は消滅しているが、CS進出は確実な情勢。逆転V3や日本一奪回へは攻撃力アップが不可欠で〝岡本個人軍〟からの早期脱却が求められている。

1―1の同点に追いついた直後の8回裏に悪夢が待っていた。リリーフエースの中川に続き、この日約5か月ぶりに昇格したばかりの高木が、ともに2ランを被弾。終盤に重すぎる4点を失い、首位ヤクルトに5ゲーム差まで引き離された。

ただ、最大の敗因は安定しない打線にある。原辰徳監督(63)は「毎度毎度、もうね。目覚めないとね。同じようなゲーム展開でね。粘り強くは戦っているんだよね。しかし、もう少し早めに(打線が)躍動しないとね」とピシャリだ。得点は8回の丸の併殺打の間に挙げた1点と9回の亀井の適時打。苦手とする相手先発・柳の前に8回まで散発5安打、10三振を喫し、中5日の先発で121球を投じて7回1失点と粘った戸郷に初の10勝もプレゼントできなかった。

試合を優位に展開するには、やはり打線が序盤から効果的に得点を重ねていくしかない。球団関係者からも「年間通して得点を挙げられるのが岡本だけではしんどい。(坂本)勇人が復調してきたのは大きいが、丸なりウィーラーなり中田なり、実績のあるベテランが〝三の矢〟として安定してこないと」との声が上がる。

以前に、指揮官も一向に吹けど踊らない打線の〝異常性〟をこう表現していた。

「打撃30傑に何人載っているんだ。こんなシーズンは珍しい。規定打席は足りていない選手ばかり。打点だって1人だけ」

28日終了時点で、チーム内で規定打席に到達しているのは岡本和真内野手(25=510打席)と坂本勇人内野手(32=407打席)、松原聖弥外野手(26=388打席)でリーグ最少の3人しかいない。他球団は阪神8人を筆頭にヤクルトとDeNAが6人、広島5人、中日4人で、いかに主力が安定していないかが浮き彫りとなっている。

打点もリーグ1位に立つ岡本和の106打点に次ぐウィーラーの48打点まで、実に倍以上の開きがある。ここまで全123試合にスタメン出場しているのも岡本和だけで、いかに得点力が4番だけに集中しているかを物語る。

逆転Vやポストシーズンを勝ち上がるべく、岡本和と坂本に続く〝第3の男〟はいつ現れるのか。残された時間はそう多くない。

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