野口 経験生かし勝負 地元ファンを大切に TIP OFF 初代ヴェルカの選手たち(4)完 インサイド陣

「数字に残らない部分でチームの勝利に貢献したい」と静かに燃えている野口=佐世保市、長崎ヴェルカクラブハウス内体育館

 チームの日本人選手で最年長の38歳。B1でのプレー継続も選択肢にあったが「伊藤拓摩監督のバスケットへの熱意に心が揺さぶられて」ヴェルカ入りを決断した。野口大介は「俊敏さはだいぶ衰えたけど、経験を生かして相手の裏を突くプレーや3点シュートで貢献できれば」と自らの役割を遂行しにいく。
 北海道出身で身長196センチのビッグマン。東海大四高(現東海大札幌高)時代から頭角を現し、2006年のプロ入り後に外角のシュート力を身につけた。ゴール下の力強さに加えて、左利きの滑らかなシュートフォームが特徴。11年夏のアジア大会ウィリアムジョーンズカップに、当時高校生だったB1千葉のガード富樫勇樹、米プロNBAでプレーするフォワードの渡邊雄太らと一緒に、日本代表として出場している。
 B1も含めて、北海道でのキャリアが計12シーズン。その中で感じてきたのが、地元ファンの大切さだ。「会場に来てもらって、口伝いに“面白かった”と広がっていくのが一番。みんなでゼロからのスタートを盛り上げていければ」。誰よりも高いプロとしての意識を備えている。
 九州で生活するのは今回が初めて。「南国で気温も高いし、湿度も高いし、雨も多いし…」とやや苦労しているが、ちゃんぽんや佐世保バーガーの味は気に入っている。シーズンを通して、もっと長崎のことを好きになろうと思っている。

◎個人技優れる得点源 ボンズ

 2人まで同時にコートに立てる外国人選手。そのほとんどは身長2メートル以上で、彼らのインサイドでの貢献度は、そのまま勝敗を左右するほど大きい。昨季のB1~B3の3リーグすべて、1試合平均得点の上位10人以上は外国人選手だった。
 長崎ヴェルカもB1、B2から、フォワードのマット・ボンズとジェフ・ギブス、センターのハビエル・カーターの3人の有力選手が加入した。最長身はカーターの203センチで、3人の平均身長は196センチ。サイズは他クラブに見劣りするが、チームが戦略の上で大切にしているのは、平面的に戦える機動力と外角のシュート力。3人はそれを備えている。
 ボンズはチームの得点源で、12日のB2福岡とのプレシーズンマッチ、19~23日の天皇杯日本選手権の計4試合で平均20得点以上をマーク。1対1の個人技に優れ、他クラブから一番マークされる存在だ。守備でもボールへの反応が速く、天皇杯では計9スチールを記録するなど、速攻の起点になった。
 カーターは堅実なプレーが魅力。チームへの合流はギブスとともに最も遅かったが、試合を重ねるたびにチームのシステムに順応。ガードとのスクリーンプレーから3点シュートも狙い、インサイドへの合わせのパスもうまい。
 シックスマンのギブスは41歳のベテラン。Bリーグ元年の2016年から昨季まで在籍したB1宇都宮の“顔”で、16年度のリーグ優勝の原動力になった。身長は188センチながら、両手の長さと110キロの体格を生かして、どんな選手でもマッチアップできる。何よりも経験値の高さは大きな武器だ。
 外国人選手の負担を減らしていくのも、約8カ月に及ぶシーズンを戦うポイントとなる。B1で活躍してきた38歳の野口大介は、各クオーターの終盤を任されるケースが多い。身長192センチの菅澤紀行は、これまで8クラブに所属してきた34歳のベテラン。「その時々の状況で求められるプレーが変わる。チームスポーツだから、誰もがしたがらないことを率先してやりたい」と心強い。

(左から)ボンズ、カーター、ギブス、菅澤

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