ひろゆき氏も論破を諦めた岸田文雄新総裁は野党キラー 懸念は3Aの〝無茶ブリ〟 

ついにこのイスに上り詰めた(ロイター)

論破王も呆れた〝鉄人宰相〟が誕生する。自民党総裁選が29日投開票され、岸田文雄前政調会長(64)が決選投票で河野太郎行革相(58)を破って総裁に選出された。「地味」「凡人」「超つまらない男」と揶揄される岸田氏だが、いくら罵倒されても微動だにしないメンタルの強さは〝鉄人級〟と言われる。野党にとっては、最も〝嫌な男〟が第100代首相に就任する。

高市早苗元総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)、河野氏と4人で争った総裁選は、かつて田中真紀子氏が、小泉純一郎氏、小渕恵三氏、梶山静六氏の3人を「変人、凡人、軍人」と表現したのになぞらえ、令和版の「変人(河野氏)、凡人(岸田氏)、軍人(高市氏)」といわれた。

昨年の総裁選にも出馬した岸田氏は新鮮味がなかったことも追い打ちをかけ、地味さは際立った。総裁選中の会見や各テレビ、ネット番組でもさんざんこの点を突っ込まれたが、岸田氏は全く動じることはなかった。

元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏から「地味だという自覚はあるのか?」とジャブを見舞われた時も「そうだろうなと。無理して、はしゃいだり、存在感を出すよりも私の持ち味を理解してもらおうと」と返し、ひろゆき氏から「何で政治家になろうとしちゃったのか。向いてなくね?」と挑発されるも「おっしゃる通り。改革を目指すにしてもいろんなやり方がある」と平然としていた。

こんな岸田氏にひろゆき氏も論破をあきらめたのか、「見かけだけでも派手にできる。変なネクタイつけるとか」となげやりなボールで締めたが、岸田氏は「ご指摘を踏まえて、少し工夫してみます」といった調子だった。

岸田氏陣営の議員は「普通だったら、あそこまで言われたら怒るか、言い返してもおかしくないところ。だけど岸田さんはひょうひょうとあの感じで受け流す。国会で立憲民主党の枝野幸男代表や蓮舫さんが追及してものれんに腕押し。野党は相当やりづらいと思いますよ」と話す。

新総裁就任会見でも朝日新聞の記者から「会見時間が30分では短い」との質問に「できるだけ多くのご質問を受けて、双方向の対話をさせていただきたい。ただ全く時間制限なしは現実として難しい部分もある」と律義に返した。

広島カープファンを公言する岸田氏は、中でも〝鉄人〟と言われた故衣笠祥雄さんを好きな選手に挙げているが、「岸田氏のメンタルの強さこそ〝政界の鉄人〟ですよ」(同議員)。

さらに酒豪でもあり、ロシアのラブロフ外相とは、朝まで飲み交わしていたほど。公家集団といわれる宏池会のリーダーで、軟弱なイメージを持たれがちだが、鋼のハートと肝臓を持ち合わせている。

一方、ウイークポイントもある。総裁選では、「3A」といわれる安倍晋三前首相、麻生太郎財務相、甘利明党税調会長の支援を受けた。今後の閣僚人事や政権運営では、3Aの意見を聞き入れたうえで一丸態勢を整えなくてはならないが、人の良さやまじめさが災いし、苦労することが予想される。こんな声もある。

「岸田氏自身にスキャンダルはないが、入閣が予想される側近議員のちょっとしたウワサが流れている。過去にも入閣が取りざたされたが、〝身体検査〟で引っ掛かったといわれています」(永田町関係者)

岸田氏の人事に注目が集まる。

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