その消毒液は「細菌でなく人を殺してる」 記者たちが驚きの真実に迫る 「コレクティブ」本編映像

10月2日より劇場公開される、本年度アカデミー賞で国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされたルーマニア映画「コレクティブ 国家の嘘」から、本編映像が公開された。

公開された本編映像は、製薬会社が病院に納めている消毒液が薄められているという驚愕の事実をつかんだ記者たちが、事実を確認し合うシーン。複数の情報源から事実を突き止めた記者は、消毒液が「細菌じゃなく人を殺してる」と語り、別の記者は「殺人には加担できない」と製薬会社を辞めた情報源もいると明かす。そして、記者の1人が「多くの読者はこう思うでしょうね、”ラボで消毒液の分析を”と」と、事実解明への次なる一手を提案する。真実にたどり着いた記者たちの表情が、至近距離から捉えられている。

アレクサンダー・ナナウ監督は、以前から調査報道に定評のあったガゼタ・スポルトゥリロルの調査チームが火災についていち早く取材に乗り出したことを知り、密着取材をオファー。しかし、取材で得た情報や告発者、そして自分たちの身の安全を守るという理由で当初は断られたという。のちに彼らから信頼を勝ち得た監督は、この事件の調査報道を牽引した取材チームに密着。撮影もほぼひとりで行った監督は、驚愕の場面をカメラに収めることに成功している。

監督は、当初は火災の犠牲者や家族の心境を理解したいと彼らに寄り添う立場で撮影をしていたが、「同じ状況が自分の人生を襲うかもしれないと考え、もっと理解し、深く掘り下げ、手を伸ばし、隠された向こうにあるものを撮影したいと思うようになりました。事件の公式見解を疑うごく少数の人たちの声に耳を傾けていくことは、自然な決断でした。そこで火災の直後から、事件における当局の役割を調査し始めた、ガゼタ・スポルトゥリロル紙の記者たちからなる調査チームのオフィスは、私が理解したいストーリーの撮影をするには最適な場所だったのです」と、密着取材の理由を語っている。

「コレクティブ 国家の嘘」は、製薬会社、病院、政府や権力の癒着の連鎖を追うドキュメンタリー映画。命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇に光を当てる。監督を務めるのは、ドキュメンタリー映画「トトとふたりの姉」を手がけたアレクサンダー・ナナウ。完成した作品は、本年度アカデミー賞の国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞の2部門でノミネートを果たした。そのほかにも、世界各国の映画祭で多くの受賞やノミネートを果たし、タイム誌の2020年ベスト映画の第2位やローリングストーン誌の第1位に選出されるなど、高い評価を得ている。

【作品情報】
コレクティブ 国家の嘘
2021年10月2日(土)シアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
配給:トランスフォーマー
©Alexander Nanau Production, HBO Europe, Samsa Film 2019

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