【連載】新潟の大学生発! SDGsから新潟の今を考える「ストレス社会で、心の健康を保つためには(目標3)」

前回:【連載】新潟の大学生発! SDGsから新潟の今を考える「持続可能な新潟の農業のためにできること(目標2)」

新潟カープの笹﨑です。今回は「目標3.すべての人に健康と福祉を」がテーマです。健康と福祉は、比較的私たちの生活に身近なテーマでありながら、時間をかけて考えることは多くないと思います。そこで、今回は目標3について私たち新潟の大学生の間で話し合った内容をご紹介します。

目標3について

SDGsの目標3では、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを掲げています。現在、新型コロナウイルスにより、世界的に健康の危機に直面しており、健康と福祉は、持続可能な社会実現のために必須な事項だと言うことができます。その中でも今回は、特に「健康」に焦点を当てていきました。

日本の健康

「健康」は、「肉体的な健康」と「心の健康」との2つに大別できます。日本の「健康」の現状を見ていきましょう。

厚生労働省が国連「Demographic Yearbook」等の資料を基に作成した平均寿命の国際比較を見ると、日本は2019年において男性が81.41歳、女性は87.45歳で世界的に見ても長寿大国であることがわかります。

一方、自殺率に着目すると、2020年は2万1,081人もの方が自らの生命を絶っており、OECD加盟国の中では5位と世界で比較しても多いというのが現状です。加えて、年代別で見ると、2018年のデータで15~39歳の死亡原因の1位が自殺で、日本においては若い世代の自殺が深刻な課題となっています。自殺の問題は、ターゲット3、4の「2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する」という内容に該当します。

出典:平均寿命を更新!男性81.41歳、女性87.45歳に!(令和元年簡易生命表) | 健康ひょうご21県民運動ポータルサイト

自殺の統計についての出典:各年の状況 |自殺対策|厚生労働省

若者の自殺の原因

画像はイメージです

2020年の年齢階級別、原因・動機自殺者数のデータを見ると、自殺の原因・動機は「家庭問題」「健康問題」「経済・生活問題」「勤務問題」「男女問題」「学校問題」「その他」に大別されています。20代・30代に着目すると、健康問題が3割を占めており、他の項目より高い結果になっています。また、健康問題の項目も細かく分かれているのですが、全体の約半分を占めているのがうつ病だということが分かりました。

うつ病は、心の風邪と言われている様に、誰でもなり得る病気です。うつ病の発症原因の詳細は不明ですが、精神的ストレスや身体的ストレスが多いと言われています。また、心理的要因や身体的要因、内因・性格など複数の要因が複合しているため、簡単に治せる病気ではありません。

このように見ていくと、日本は「肉体的な健康」においては恵まれているかもしれませんが、ストレス社会の進行によって、「心の健康」という側面に問題が生じているのが分かります。

最近は、日々のストレスに加えて、新型コロナウイルスの拡大により、日常生活のあらゆる面で制限がかかる等、よりストレスの感じやすい社会になってしまいました。実際、学校、職場、ネットやSNSでストレスを感じる人も多いのではないでしょうか。

出典:令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省

心の健康を保つには

写真はイメージです

そこで、「今後10年後、ストレス社会の進行が予想されるが、そんな中でも心の健康を保つにはどうしたらいいと思いますか」というテーマで、「家庭」「地域のつながり」「ネット、SNSの活用法」の3つのグループに分かれ、「どうあってほしいか」「これがあったらいいな」という内容でディスカッションしていきました。

「家庭」についてディスカッションしたグループでは、共働きや核家族化が進む中、なかなか家族との時間が取れないのではという意見があがり、家族での時間を充実させるためにも、家族旅行に関するサービスを増やすことで、家族仲の深まり、ストレス発散という効果を期待できるのではないかという意見が出ました。

「地域のつながり」については、お互いに助け合う関係、みんな顔見知りですれ違ったときに挨拶できる関係であってほしいという意見が挙げられました。また、私たち大学生は地域に貢献したいと思っても、なかなか自治会に入りづらいため、「自治会に大学生部をつくろう」という提案が上がりました。このように地域内で関係性を広げることで、孤独になる人を減らせるのではないかと思います。

「ネットやSNSの活用法」では、SNSはストレスのはけ口になっていて、これによって、被害者、加害者を生み出してしまっているのが課題として挙げられました。そこで、誹謗中傷により、被害者を出さないためにもコメント機能の制限をすることや、投稿内容により、投稿者にあったストレス発散方法をSNS側から提案する等の意見が出ました。

私たちは、生活の中で多くのストレスと上手く付き合いながら心の健康を保つ必要があり、また、ストレスは個人では解決しにくい問題も多くあります。そんな時は、家族や友人に悩みを共有することや、国や市町村が行っているメンタルヘルスケアのサービスを積極的に活用していくことが重要ではないかと感じます。

【連載 新潟の大学生発! SDGsから新潟の今を考える】

前回:【連載】新潟の大学生発! SDGsから新潟の今を考える「持続可能な新潟の農業のためにできること(目標2)」

初回:【連載】新潟の大学生発! SDGsから新潟の今を考える 第1回「SDGsの実現の先にある新潟の未来」

記事一覧

© にいがた経済新聞