にぎわう館内、にじむ無念 京急油壺マリンパーク閉館 館長、新水族館「頓挫」も明かす

感謝を込めて来場者にお辞儀する京急油壺マリンパークの職員=三浦市

 東洋一の大回遊水槽など水族館の先駆けとして人気を呼んだ京急油壺マリンパーク(三浦市)が30日、台風の接近にもかかわらず最終日も5300人が来場する中で、53年間の歴史に幕を下ろした。飼育している生き物は10月中に他施設へ移る見込みという。館長はコロナ禍で新水族館計画が頓挫したことを明かし、無念さをにじませた。

 イルカ、アシカのパフォーマンスが披露される屋内大海洋劇場「ファンタジアム」。照明や音響を駆使しながらのダイナミックな演技が、最後まで観客を魅了した。

 家族4人で客席にいた横浜市鶴見区の女性(44)は「幼稚園の遠足以来、10回ほど来ている」というファン。「古き良き昭和が残っている水族館で、ショーや魚を見るのが楽しみだった。閉館は本当にさみしい」と残念そうだった。

 東京都港区の男性会社員(53)は9月30日が誕生日。生まれたのもマリンパークが開館した1968年で、「どうしても閉館を見届けたかった」と会社を休んで訪れた。「小学生の頃から6回ほど来ており、タカアシガニが特に印象的だった」と思い出の施設を見て回った。

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