新聞配達エッセー 田崎さん(日之影小)最優秀 本県唯一受賞

 日本新聞協会は30日、新聞配達や販売所にまつわる心温まるエピソードなどを募集した「第28回新聞配達に関するエッセーコンテスト」の受賞作品を発表した。3879編の応募があり、小学生部門の最優秀賞に、日之影町・日之影小6年田崎香澄さん(12)の「ポストに優しさ届いた」が選ばれた。
 田崎さんはエッセーで、自宅の郵便受けを手作りしてくれた「新聞配達のおじちゃん」がどんな人か会いたくなり、数年越しに感謝の気持ちを伝えに行った思い出を記した。最優秀賞の知らせに「まさか受賞するとは思わず、とてもうれしい。応募しようと思った時、ポストが目に入りすぐにテーマが決まった」と笑顔を見せた。
 大学生・社会人部門の最優秀賞は東京都小平市の大学生木脇真由さん(19)の「エール」、中学生・高校生部門の最優秀賞は千葉県習志野市の高校生焼山美羽さん(17)の「思い出を胸に抱いて」に決まった。このほか、部門ごとに審査員特別賞と優秀賞が1編ずつ、入選が7編ずつ選ばれた。本県からは、田崎さんが唯一受賞した。
<受賞作品>
ポストに優しさ届いた/田崎香澄(12歳)宮崎県日之影町
「うお~。すごく新しい! どうしたと」
 新しい郵便ポストを見つけて祖母に聞いた。学校から帰ると、手作りの郵便ポストがかけてあった。それは、新聞配達のおじちゃんが作ってくれたそうだ。母に聞いてみると、小さい頃に会ったことがあるそうだが覚えていない。私は、どんな人か会ってみたくなった。気になったものの、家に新聞が配達されるのは朝の4時。お礼を言いたいが早すぎて起きられず数年が過ぎた。新聞が届かない日は、おじちゃんが倒れたのかと心配になる。そして、休刊日と聞いてほっとする。
 今年思い切って、祖母が育てた新たまねぎを持っておじちゃんに会いに行った。新聞配達を始めて40年。毎朝3時に起きて、50件配達するそうだ。どうしてそんな大変なことを40年も続けているのか聞いてみた。それは、読者に喜んでもらいたいから……。言葉にならなかった。80歳過ぎても、新聞だけではなく優しさも届けてくださっていると思い心から感謝した。

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