一発の“不敗神話”も消滅… 阪神・矢野監督が「怖さ」薄れた打線にぼやき

小野寺(右から2人目)のプロ初弾に盛り上がった阪神ベンチだったが…

停滞ムード打破の鍵は…。30日の広島戦(甲子園)に4―5で競り負け、同一カード3連敗となった阪神は、9月を10勝9敗4分けでフィニッシュ。星勘定では勝率5割ラインは死守したものの課題として浮き彫りになったのが、打線の決定力不足だ。月間チーム打率も4月以降最低の2割2分台と低迷した猛虎打線は復調できるのか。

この日は4―4の8回にエースリリーバーの岩崎が、小園に痛恨の決勝弾を被弾した。打線は2度のビハインドを追いつく粘りも見せたが、9安打で9残塁と依然、決め手を欠く状態。試合後の矢野監督は「まぁ、噛み合わないよね。いいところでホームランでもボーンと1本出てくれたら楽になるんだけど…」と、ぼやくしかなかった。

指揮官からすれば、それは切実な声でもある。

9月は4月以降の最低の月間打率、8月よりも7試合多いにもかかわらず、9月の月間本塁打は前月の17から9本に激減した。23本塁打の怪物新人・佐藤輝や20本塁打のサンズの不調もあり、ここ一番でのタイムリーだけなく一発長打の〝怖さ〟が薄れている状態だ。

今季は特に「アーチ」はチームの勢いを象徴するものでもあった。今シーズン、虎打線に本塁打が飛び出した試合は46勝23敗3分け。勝率6割7分以上の高勝率に加え、開幕以降は誰かが柵越えを放てば、チームは13連勝。開幕ダッシュに成功し、リーグ首位を独走した春先の〝不敗神話〟と呼べるほどのもので、苦しんだ9月も水面下では、ひそかに健在だった。

この日まで9月4日の大山の逆転サヨナラ弾を皮切りに、本塁打が出た試合は引き分け2つを挟み7戦負けなしの5連勝中。9月ラストのこの日は伏兵・小野寺が4回にチーム3試合ぶりとなるプロ初本塁打を放ち、一気に上昇気流に乗る流れを作ったが…。結果的には〝神通力〟もストップしてしまった。

果たして矢野阪神は、10月に再び新たな「本塁打神話」で勝利を積み重ねていくことができるのか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社