中日で消えゆく“落合時代”の面影 山井&藤井が引退…世代交代も黄金期の再来遠く

中日・山井大介(左)と藤井淳志【写真:小西亮、荒川祐史】

“強かったドラゴンズ”知るベテランたちが引退…問われるチーム改革の成果

中日は30日、山井大介投手が今季限りで現役を引退すると発表した。現役最年長投手の43歳が、20年のプロ人生に幕。さらに前日の29日には、40歳のベテラン・藤井淳志外野手も現役引退を発表した。2000年代から2010年代にかけて落合博満監督のもと築いた「黄金時代」を知るメンバーもわずかに。ここ数年で世代交代は一気に進んだが、常勝軍団再建の足音はなかなか聞こえてこない。

山井といえば、2007年の日本シリーズ第5戦がファンの記憶に強く刻まれている。日本ハムのダルビッシュ有投手(現パドレス)と投げ合い、8回まで1人の走者も許さない完全投球。しかし、9回は守護神の岩瀬仁紀にマウンドを譲り、継投による完全試合を達成して53年ぶりの日本一に導いた。快挙目前での継投に賛否を呼んだが、日本一の立役者になったのは間違いなかった。

落合政権の8年間では、4度のリーグ優勝と1度の日本一を経験。チームは2013年から7年連続Bクラスに沈んで低迷期を迎えたが、山井はベテランへと立場を変えていく中で先発陣を支えた。2014年には最多勝と最高勝率の2冠を獲得。1軍で苦しむシーズンが増えた2015年以降は、若手の手本として知識や経験を還元する側面もあった。

藤井はプロ16年間で規定打席に到達したシーズンはなかったものの、スイッチヒッターとして代打での曲者ぶりや、守備固めとして“4人目の外野手”として欠かせない存在に。2014年には地元の愛知・豊橋でサヨナラ本塁打を放つと、翌2015年にも故郷での一戦で逆転3ラン。お祭り男としての一面も持ち合わせていた。

2010年代中盤から功労者たちが相次ぎ引退、昨季はAクラスで上昇気配も…

チームでは2010年代中盤から、黄金期を支えてきた功労者たちが相次いで現役に別れを告げてきた。山本昌、和田一浩、谷繁元信、森野将彦、浅尾拓也、岩瀬仁紀、荒木雅博、吉見一起……。さらに山井、藤井が去ることとなり、黄金期を知る現役選手は大島洋平や平田良介、今季14年ぶりに古巣復帰した福留孝介らと数少なくなった。

顔ぶれは大きく変わり、与田剛監督2年目の2020年には8年ぶりのAクラス入り。強竜復活の気配が漂ったが、今季は序盤から苦しい戦いを強いられてきた。リーグトップのチーム防御率を誇る投手陣は整備されてきた一方で、若手の打者が育っていない現実は否めない。

あと数年もしないうちに“強かったドラゴンズ”を知る選手はいなくなる。それまでに再び黄金時代を迎えることができるのか――。ベテラン陣の引退は、必然的に世代交代の成果を問われる節目にもなる。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2