長崎県内景況 3期ぶり改善 9月短観 感染者減など追い風 日銀長崎支店

日銀短観 県内業況判断DI(全産業)推移

 日銀長崎支店が1日発表した9月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス17となり、2020年12月調査以来3期ぶりに改善した。前回の21年6月調査時を3ポイント上回った。新型コロナウイルス感染者数の減少、好調なIT関連や公共工事を追い風に、同支店は「コロナの重しはあるが、企業マインドはゆるやかに改善している」と分析した。
 業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。136社(製造業44、非製造業92)を対象に8月26日~9月30日に調査し、全社が回答した。
 業種別では、製造業がマイナス25で前回から6ポイント改善した。窯業・土石製品業は、IT関連向けの素材納入が増加。オンライン販売も好調で40ポイント上昇しマイナス60とした。電気機械業も全国的な設備投資で配電盤関連が伸び45ポイント上昇して20になった。生産用機械はコロナ禍で需要が減り、25ポイント下落のマイナス75。
 非製造業は2ポイント上がりマイナス14。卸売業がコスト削減などで収益を改善し、22ポイント上げて7とし、プラスに戻した。対個人サービス業はワクチン接種が進んで客足が回復し、25ポイント上昇してマイナス50。それに伴って電気・ガスも使用料が増加して33ポイント上げた。
 一方、小売業は感染再拡大や大雨で客足が鈍り、コロナ慣れで巣ごもり需要も一服。主に衣料品やスーパーが影響を受け、34ポイント落ち込んでマイナス23となった。宿泊・飲食サービス業はマイナス100のまま。
 12月の全産業の先行きは、2ポイント悪化のマイナス19を見込む。感染再拡大を懸念する一方、ワクチン接種の進展に期待する声もあり、鴛海健起支店長は「前向きさと慎重さが入り交じって、先行きはまだら模様。原材料不足や仕入れ価格の上昇といったものに直面している企業も少なくなく、注視していきたい」とした。

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