漆喰シーサー人気の老舗「大見屋」涙の閉店 那覇・平和通りなどで60年、コロナ影響

 那覇市の平和通りにある老舗の陶芸品店「大見屋」が9月30日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除を待たずに閉店した。大見屋は県内陶芸家の作品を紹介したり、オリジナルの漆喰(しっくい)シーサーを売り出したりと、地元の商品にこだわり抜いた。通り会の関係者らは、60年以上も営業し、通りの魅力を形成していた老舗の閉店を惜しんだ。

 大見屋は1955年、桜坂に1号店を開店。2号店を平和通りに、3号店を旧山形屋の隣に開店した。もともとは紳士服店。75年の沖縄国際海洋博覧会の時に、陶芸品を中心とした土産品を売るようになった。当時、周囲に土産品店はなく、時代を先取りしていた。

 90年代には陶芸家の國吉清尚氏の作品を集めたギャラリーなどを企画し、話題になった。近年はオリジナルの漆喰シーサーが好評を博した。通り会の商売仲間は「センスがある店」「おしゃれな店」と評する。

 コロナ禍で昨年4月に一時休業し、ことし7月に再開していた。店主の大見謝佐代子さん(87)は「ワクチンは打ったけれど、年寄りがコロナにかかったら大変と言うでしょう? 少し怖くなって」と、閉店理由を説明した。1、3号店はすでに閉店しており、平和通りの店が最後の店舗だった。

 30日、息子夫婦と閉店作業をしていた大見謝さんのもとには、昔なじみの人々が閉店を惜しんで訪れた。「寂しくなるさ」「長い間ありがとう」。涙ながらの会話が交わされた。

 大見謝さんは「長いことやってこられたのは皆さんのおかげ。元気なうちに閉められるのは幸せ」と語った。

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