「すごい楽しい1年」有終46号大谷翔平100打点突破! HR王逃してもMVP当確の〝記録ラッシュ〟

MVP当確にバンザーイ⁉(ロイター=USA TODAY Sports)

エンゼルスの大谷翔平投手(27)は3日(日本時間4日)に敵地シアトルでの今季レギュラーシーズン最終戦のマリナーズ戦に「1番・DH」で出場し、初回先頭で11試合ぶりの一発となる46号を放った。日本人選手では2007年の松井秀喜(ヤンキース)以来、14年ぶり2人目のシーズン100打点に到達。これで史上初の投打5部門で100超えを果たした。3打数1安打1打点、2四球、2三振。本塁打王は逃したが今季全米を席巻した二刀流が有終の美を飾った。

有言実行弾で敵地Tモバイル・パークを沈黙させたのは初回だった。相手先発の左腕アンダーソンのカウント1―1からの内角高めの86・4マイル(約139キロ)のカットボールをフルスイング。角度20度で打ち出した112・9マイル(約181・6キロ)の光速ライナーはあっという間に右翼席中段に突き刺さった。

試合前のオンライン会見で「変わらず、1打席、1打席、自分の打席を最後までしたいなと思っています」と話した通りの一振りでワイルドカードでのプレーオフ進出を目指していたマリナーズの夢を砕いた。

飛距離418フィート(127メートル)の一発は今季4本目の先頭打者弾。本塁打王争いトップに並ぶロイヤルズのペレス、ブルージェイズのゲレロに2本差とした。同時にシーズン100打点に到達。これで史上初の投打5部門(投球回、奪三振、安打、得点、打点)の100超えを達成した。

2回一死二塁は敬遠四球、4回一死無走者は3番手の左腕ミシェビッチに見逃し三振、5回二死三塁は敬遠四球。今季最後の打席となった7回二死無走者は6番手の左腕ドゥーリトルに空振り三振だった。

最後に意地を見せてくれたが、残念な思いも残る。オールスター戦前に33本塁打をマークして2位のゲレロに5本差をつけて折り返し、日本人選手初の本塁打王、60本塁打も期待された。しかし、8月以降、疲労に加え、徹底マークにあって急失速。9本しか上積みすることができなかった。一方、ペレスは22本、ゲレロは15本と量産し、逆転を許した。

しかし、「貴重な経験をさせてもらってるな、という印象。そういうふうにいろんな選手から刺激をもらって1年間、いいシーズンを過ごせたっていうのは選手としていい経験になったなと思ってます」と前向きだ。

また、投手でも1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利&2桁本塁打」にあと1勝としながら味方打線の援護がなく3度失敗。中6日で登板可能だったこの日の登板を見送った。

大谷は「投げる、投げない、どっちが一番、自分にとって、チームにとってもそうですけど、いいのかなというところですかね」と投げない方がいいという選択になったと説明した。

プロ9年目で初めてシーズンを通じて二刀流でプレーし、途中離脱することなく完走した大谷は満足感でいっぱいだ。

「より多く試合に出られたというのは単純に楽しかったですし、それだけ試合に貢献できる頻度が高いということは選手としてもやりがいがあると思う。すごい楽しい1年だったかなと思います」

今年、大谷が残した記録は数えきれない。ア・リーグ史上初の「45本塁打以上、25盗塁以上、100得点以上」というものもあれば、135年ぶりの「150奪三振&150塁打」など歴史を掘り起こしたものもある。史上初めてオールスター戦に二刀流で選出され、勝ち投手にもなった。間違いなくア・リーグMVPだ。

本塁打王獲得、103年ぶりにルースに並ぶことは果たせなかったが、楽しみを先送りしたにすぎない。進化を続ける二刀流は来季も日米に興奮と感動を巻き起こす。

© 株式会社東京スポーツ新聞社