スピードスケート平昌五輪女子500メートル金メダルの小平奈緒(35=相沢病院)の円熟味にさらなる磨きがかかっている。
かねて〝氷上の哲学者〟と称される小平は、4日に長野・エムウェーブで練習を公開。昨季は股関節痛で苦しんだものの「違和感を持っていた股関節を通じて、連動してくる背骨や体幹の動きっていう自分がフレキシブルにコントロールできる体の連動性に気づくことができた」と順調な調整ぶりをアピールした。
来年の北京五輪は35歳で迎える。すでにベテランの域に突入しているが「体力的な衰えは感じていない」ときっぱり。その上で、コーヒーをたしなむ〝通〟らしい独自の感覚を語った。
「コーヒーはエイジング(熟成)すると焙煎したてより(味に)丸みが増す。(私も)若いときはトゲがあったが、しなかやかさや弾力を持つような丸さを氷上で表現できるようになってきた」
熟成期間の少ないコーヒーは苦味や酸味など、それぞれが独立した個性を発揮する一方で、長期間熟成されたコーヒーはさまざまな風味が複雑に絡み合う。まさに今の小平は、熟成された最高峰のコーヒーと同じ状態というわけだ。
大一番まで残された時間は約4か月。「昨季と違って今季は体が自由に動く」と手応えを口にする小平には、新たな世界が見えている。