<コリア・ニュース・コラム>「無条件の日朝首脳会談」は実現しない

先頃、日朝平壌宣言発表19周年に際し、日本各地で市民団体が主催するイベントが開かれた。東京の記念集会で主催者が日朝膠着の原因について指摘した。

「安倍、菅政権は『朝鮮との無条件対話』を繰り返し表明したが、その前提には朝鮮に対する敵視政策、そして拉致問題の解決なしに国交正常化はないという姿勢がある。それ自体が平壌宣言の歪曲だ」

 数年前、安倍首相が条件をつけずに日朝首脳会談を開催したいとの立場を表明して「面の皮が熊の手のひらのように厚い」と一蹴されたことがある。

 首相発言を拒否したのは、朝鮮外務省ではなく「アジア太平洋平和委員会スポークスマン」 であった。外交レベルで対応すべき発言でないことを相手にわざわざ確認させたのだ。

首相発言は朝鮮側に徹底的に無視され続けた。

2002年9月17日、小泉前首相が金正日総書記とともに署名した日朝平壌宣言の核心は、日本の過去清算に基づく国交正常化の実現だ。この宣言に基づいて懸案問題を解決し、新たな日朝関係を樹立することが朝鮮の一貫した要求であり揺るぎない立場だ。

 したがって、二国間の根本問題を無視した「前提条件のない対話」は念頭にない。日本による過去清算の議論を前提としない対話は朝鮮にとって無益だ。

 日本の首相は過去清算の意志を明らかにしない人物であったし、その提案は善隣友好のためのものではなかった。実際にこの間、首相が「融和的メッセージ」を発するのとは正反対に、日本政府は朝鮮敵視政策を続けてきた。

 そんな政治風土は今のところ変わる気配がない

 昨日、岸田首相も就任会見で「無条件で金正恩総書記と直接、向かい合う覚悟」を述べた。

 前任者たちの失敗から何も学んでいない。相手が耳を傾けない言葉を繰り返すばかり。

 これでは日朝関係改善の余地はない。

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