〈月間・金正恩総書記の活動〉“南の敵視撤回が先決” 2021年9月 / 最高人民会議で施政演説

膠着状態が続いていた北南関係に新たな動きが見られた9月。金正恩総書記は最高人民会議第14期第5回会議(28、29日)で行った施政演説で、北南関係を根本的に解決するうえで提起される原則的問題について述べた。

 金正恩総書記は2日目の会議に出席し、「社会主義建設の新たな発展のための当面の闘争方向について」と題した施政演説を行った。

 総書記が最高人民会議で施政演説を行うのは2019年4月の第14期第1回会議以来。

この間に開催された第2回から第4回の会議には出席しなかったことから、今回会議に出席し施政演説を行ったことは注目を集めた。

金正恩総書記が最高人民会議で施政演説を行った。(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 金正恩総書記は、現在の北南関係と朝鮮半島の情勢について概括評価し、現在の段階での対南政策を宣明した。

 北南関係をめぐっては最近、文在寅大統領が国連総会の一般討論演説(現地時間21日)で朝鮮戦争の終戦宣言を提案した後、金与正党副部長が談話を発表。ミサイル試射など朝鮮の自衛権行使に対する二重基準の廃止と敵対政策の撤回を求めたうえで、南当局が相互尊重の姿勢を示すならば、関係改善の対話の用意があると表明していた。

 金正恩総書記は施政演説で、現在、南朝鮮でわが国を「けん制」するという口実の下で各種の軍事演習と武力増強策動が露骨に行われており、われわれを刺激し、言い掛かりをつける不純な言動を引き続き行っていると指摘。

 また、終戦の宣言に先立って相手に対する尊重が保障され、他方に対する偏見的な視覚と不公正な二重的な態度、敵視観点と政策から先に撤回されなければならないというのが、われわれが引き続き明らかにしている不変の要求であり、これは北南関係を収拾し、今後の明るい前途を開くためにも先決されなければならない重大課題だと明言した。

 そのうえで、われわれは南朝鮮を挑発する目的も理由もなく、危害を加える考えがないとし、北南関係を望む全民族の期待と念願を実現するための努力の一環として10月初めから北南通信連絡線を復元する意思を表明した。

 一方、バイデン政権の8カ月間の行跡については、米国の軍事的脅威と敵視政策は少しも変わったものがなく、かえってその表現形態と手口はいっそう狡猾になっていると評価した。

 総書記は、今、米国が「外交的関与」と「前提条件のない対話」を主張しているが、あくまでも国際社会を欺瞞し、敵対行為を覆い隠すためのベールにすぎず、歴代の米行政府が追求してきた敵視政策の延長にすぎないと述べた。

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