逆襲のヤン・マグヌッセンとニコライ・シルベスト、LMレーシング勢が週末全勝/TCRデンマーク第6戦

 2021年シーズン3度目の開催となるFDMユランズリングを舞台に、10月2~3日の週末に開催された2021年のTCRデンマーク・シリーズ第6戦は、前戦最終ヒートのクラッシュにより今季2度目のマシンリペアを強いられていたLMレーシングのヤン・マグヌッセン(クプラ・レオン・コンペティションTCR)が、レース2で復活の勝利。その前後を飾るように、僚友ニコライ・シルベスト(クプラ・レオン・コンペティションTCR)も2勝を挙げるなど、LMレーシングにとってはタイトル戦線に向け逆襲の週末となった。

 8月の『コペンハーゲン・ヒストリック・グランプリ』に続き、9月中旬の第5戦『クラシック・レース・オーフス』と2戦が組み込まれた市街地戦にて、立て続けにクラッシュを喫していたマグヌッセンは、2021年から投入のクプラ・レオン・コンペティションTCRを再リペアしての第6戦を迎えた。

 同じくユランズリングで開催された第4戦はル・マン24時間参戦で欠席となっていたことと合わせて、開幕から3連勝スタートを決めたものの、現状ではスタンディングでトップ5に喰い込むのがやっとという状況の元F1ドライバーにとっては、マシン復調の手応えを得ると同時に、是が非でも勝利を手にしたいラウンドとなった。

 しかしそんな思いとは裏腹に、予選では2020年シーズン初代王者のキャスパー・H・ジェンセン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/マッシブ・モータースポーツ)がポールポジションを奪い、2番手にシルベスト、マグヌッセンはセカンドロウ3番手からの巻き返しを強いられることに。

 すると明けた日曜正午スタートのレース1は、直前の降雨でフルウエット・コンディションへと変化し、これがポールシッターの重圧になったかシビックを出し抜いたシルベストのクプラがホールショットに成功する。

 しかし、その背後では2列目を分けていた4番手発進のキャスパー・エルガード(プジョー308 TCR/ブライアン・マドセン・モータースポーツ)がマグヌッセンを捉え、ここでLMレーシング勢を分断していく。

レース1のスタートでは、シビックを出し抜いたニコライ・シルベスト(CUPRA Leon Competición TCR/LM Racing)のクプラがホールショットに成功する
レース2で勃発したリバース上位勢の争いに乗じて、ヤン・マグヌッセン(左:CUPRA Leon Competición TCR)が首位を奪う

■マグヌッセンが9番手グリッドから逆転勝利

 そのままリードを広げた首位のシルベストに対し、プジョーの背後で時間を喰っていた“耐久の鉄人”は、中盤わずかにミスを犯したエルガードの隙を見逃さずポジションを奪還してみせる。

 その勢いを持ち込んだマグヌッセンは、ファイナルラップを迎えた最後の最後に劇的な逆転劇を演じ、シビックも仕留めて2位浮上に成功。そのままチェッカーを受け、シルベスト、マグヌッセンのふたりがまずはワン・ツー・フィニッシュを達成した。

 これでマシンの修復も完調であることを確認したマグヌッセンは、続くリバースグリッド採用のレース2では9番手から躍進。スタート直後の混乱に乗じて3番手へとジャンプアップしていく。

 すると、ターン1では3台絡みでバトルを演じていたリバースポールシッターのレネ・ポヴルセン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/メテオ・レーシング)とジェイコブ・マシアセン(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR/インサイト・レーシング)がふたたびのバトルで接触し、この混乱に乗じてマグヌッセンが一気に首位浮上に成功する。

 後方車両のコースオフで黄旗が出たことも首位マグヌッセンには奏功し、土曜予選不出走ながら2位まで浮上してきたマイケル・マルクセン(プジョー308 TCR/マルクセン・レーシング)とジェンセンのシビックを従え、今季7勝目を手にした。

 そして、ここまでのリザルト合算によりフロントロウからレース3に臨んだLMレーシングのふたりは、複数回のセーフティカー出動にも動じずシルベストが先輩を下して、週末最後のマッチレースを制覇。

 しかし3位にはジェンセンが続き、これでディフェンディングチャンピオンは3戦連続の表彰台を確保し、ランキング2位浮上のマルクセンに対し52ポイントの大量リードを確保。シルベストとマグヌッセンもそれぞれランク4位、5位としたものの、対ジェンセンでは60点、62点差とわずかな追撃に押し留められた。

 それでも依然、トップ5にタイトル獲得の権利が残る2021年のTCRデンマーク。チャンピオン争いの行方は、10月15~17日の最終戦パドボルパークで決することになる。

フロントロウからレース3に臨んだLMレーシングのふたりは、複数回のセーフティカー出動にも動じずシルベストが先輩を下してマッチレースを制覇
シルベスト(中央)とマグヌッセン(左)もそれぞれランク4位、5位としたものの、対ジェンセン(右)では60点、62点差が残る

© 株式会社三栄