横浜・山中市長就任1カ月 公約実現へ「カラー」鮮明も、財源に不透明感

所信表明演説を行う山中市長=9月10日、横浜市会本会議場

 横浜市の山中竹春市長が就任して1カ月が過ぎた。市長選で掲げた公約実現に向け、新型コロナウイルス対策の加速化やカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の誘致関連部署の廃止など、着実に「山中カラー」を打ち出し始めており、職員からも「政治の常識にとらわれていない」と評価する声が聞かれる。

 一方で、75歳以上の敬老パス自己負担ゼロを含む「三つのゼロ」など、全ての公約を実現するには多額の費用が必要なため、財源を巡る議論が市会で熱を帯びている。

◆コロナ対策

 「378万人の市民の暮らしを守る責任の重大さを日々感じている。喫緊の課題はコロナ対策だ」

 9月30日の定例会見で就任1カ月の所感を述べた山中市長は、自身の経験や専門性を生かし感染拡大防止に全力を尽くすと誓った。

 その言葉を裏付けるように、前日の市会本会議ではワクチン接種の加速化や医療提供の確保など、対策プランを盛り込んだ補正予算を成立させた。

 接種率の低さが課題となっていた若者対象の接種センターを新設し、深夜・早朝の接種の実施にこぎ着けるなど、次々と施策を形にしており、「10月末までに希望者全員のワクチン接種の達成」を目指すとしている。

◆IRと劇場

 就任早々に動いたのが、IR誘致の撤回だった。

 9月10日の所信表明で撤回を宣言して誘致事業を停止すると、10月1日付で「IR推進室」を廃止。「業務調整課」を新設して事業収束手続きを行うとした。

 さらに、林文子前市長の肝いり事業だった新劇場の整備構想も中止し、同日付で「芸術創造本部室」を廃止した。

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