平戸市長選 告示直前情勢 黒田氏 実績重ねアピール、松本氏 無投票阻止を訴え

4期目を目指す黒田氏=平戸市役所(右)、 無投票阻止を訴える松本氏=平戸市魚の棚町

 任期満了に伴う平戸市長選の告示が10日に迫った。今のところ、4期目を目指す現職の黒田成彦氏(61)と新人の松本和之氏(67)が立候補を表明し、一騎打ちとなる公算が大きい。2009年に黒田氏が一騎打ちを制して以降、13、17年は無投票。12年ぶりの選挙戦となるが、新型コロナウイルスの感染予防が強く意識され、大規模な集会が見送られるなど静かな前哨戦が続いている。
 松本氏は5月中旬にいち早く出馬表明。8月初旬の事務所開きで「次代に平戸を引き継ぐため、市民、議会、行政が三位一体となって地域再生が必要」と訴えた。出馬表明以来、離島部も含め、市内全域を回り、支持者の掘り起こしを図っている。
 9月下旬の記者会見では「無投票阻止」をあらためて訴え、市民と行政の距離が遠くなっていると指摘。「市役所の機構改革、職員の意識改革」を公約の1番目に掲げる。新たに作成したチラシでは、市役所そばの商店街の一角を活用した複合商業施設構想を発表。既存店舗を集約するテナント、地域のコミュニティー施設機能などを備えており、地域活性化に向け、地元の関係者と議論を始めていると明かした。
 黒田氏は6月の定例市議会の一般質問を受け、4期目に向けて正式に出馬を表明。9月上旬の事務所開きでは市内の主要経済関係団体、自治会組織代表など後援会構成メンバー、推薦を受けた自民党県連幹部ら約200人が集結。「ここに集まった皆さんとこれからの市政をやっていきたい」と決意を述べた。
 2期連続無投票となっている黒田氏は「民主主義の洗礼を受ける機会」と前向き。3期目最後の1年は、念願の企業誘致を実現した。平戸城再整備と「城泊」事業開始、航空大手の日本航空と連携協定締結などの実績で内外に平戸をアピール。会員制交流サイト(SNS)を活用し、新たな生活様式に対応した市民と幅広いつながりで発信力を高めている。
 同時に実施される市議選(定数18)は現職6人が勇退し、変化の時を迎えた。現職12、新人7、元職1の計20人が出馬を予定しており、激戦が予想される。
 3期12年の黒田市政を一括評価する機会。市長選では両陣営とも市議選との相乗効果から投票率を70%代前半と見込むが、有権者の関心を呼ぶような政策論争が深まるかは不透明。市民から「選挙前なのに街が静か」との声も上がる中、告示日を迎える。

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