〈動画あり〉上越市長選 中川氏、宮越氏と政策協定 野澤氏と一騎打ちへ

 上越市長選(10月24日告示、31日投開票)に向け、出馬を予定する元市議の中川幹太氏(46)が8日、元市長で現市議の宮越馨氏(80)と政策協定を結び、市民プラザでそろって記者会見した。市長選への出馬を検討してきた宮越氏は出馬断念を表明し、中川氏に託す思いを披露した。市長選には前副市長の野澤朗氏(64)も出馬表明し、活動を展開している。宮越氏が断念したことで、中川、野澤両氏の一騎打ちの公算が大きくなった。

上越市長選へ政策協定を結んだ中川氏(左)と宮越氏。宮越氏は自身の政策集を手に説明した

 政策協定は両者が何度か話し合いを持ち、宮越氏から中川氏に持ち掛けたという。宮越氏は「何度かお会いしてコミュニケーションを図った中で、人間性や政策実行力があり、この方なら託してもいいと思った。若い政治家を育てながら、力強く歩んでいける態勢を取るために全力を傾注したい」と話した。中川氏は「宮越さんからダイナミックな政治手法や財源の獲得手腕、いろいろなものを学びながら進んでいきたい。政策の改革手腕は全国に通じるものがあると感じている」と協定合意の理由を説明した。

 宮越氏が主張してきた子供年金制度や分権型ブロック制導入をはじめとする政策については、「市政に反映すべく具体的で実効性のある施策に取り組んでいくことを確認する」と協定書に記した。中川氏は「政策全てをやるわけではない。方向性が似た政策について取り入れていきたい。財政的に厳しいのは間違いなく、取捨選択しながらやっていきたい」とし、子供年金制度は「もう少し検討が必要」と答えた。

上越市長選へ政策協定を結んだ中川氏(左)と宮越氏。記者会見後、にこやかな表情で握手を交わした

宮越氏、市長選出馬は断念

 協定締結に当たり、市長選への出馬準備を進めてきた宮越氏は、不出馬とする意向を表した。理由に「家族の理解が得られなかった」ことなどを挙げ、「過去の市長経験などをご存じの方を中心に多くの市民から閉塞(へいそく)感のある政治、市政に喝を入れてほしいという声を頂いたが、残念ながら出馬への条件が整わなかった」と無念さもにじませた。その上で、中川氏と協定を結んで支援し、「当選へ向け全力で取り組む」ことを強調した。選対に入ることはないとし、自身の支持者に中川氏支援を働き掛けるという。

 また、「協定の政策実現に当たっては、宮越氏のノウハウが生かせる態勢を取る」と記した。これについて、中川氏は「副市長など権力のある立場に就任していただくことはない。協力、ご指導を頂きながら、上越市発展のために全力を尽くしたい」と説明。宮越氏は「政策をどう実現できるかが一番大事。その上でやりやすい形をどう取るか。一つは選挙の結果。手段は仮の話であり、結果次第で全てが変わる」と話した。

協定内容分析粛々と進める 野澤氏陣営

 中川氏と宮越氏の政策協定発表について、野澤氏の後援会、内山米六会長(77)は「お互いにけん制されていた部分がありながら、今回政策まで協定された。中川さんの信念、政策はどうなるのか」と指摘し、「よく分析した上で、惑わされないよう、うちとしては粛々と、正々堂々とやっていく」と話した。

© 株式会社上越タイムス社