【新型コロナ】コロナ飲み薬 岸田首相、横浜で治験視察 塩野義製薬「何とか年内に」

黒岩知事(左から2人目)と新型コロナウイルスの宿泊療養施設を視察する岸田首相(左)=10日午前、横浜市港北区(代表撮影)

 岸田文雄首相は10日、新型コロナウイルスの重症化を防ぐ飲み薬タイプの治療薬の臨床試験(治験)が行われている横浜市港北区の宿泊療養施設を視察した。首相は記者団に「これからのコロナ対策の大きな決め手になる取り組みだ」と述べ、治療薬の年内実用化に期待を寄せた。

 岸田首相の来県は就任後初めて。この宿泊療養施設では9月27日から同意を得た患者に対して、塩野義製薬が開発を進める飲み薬タイプの治療薬の治験が行われている。同社によると、現時点でこの治験が実施されているのは、全国で県内のみという。

 視察では同社の手代木功社長が飲み薬の効果などについて説明し、「何とか年内にお届けできるようにしたい」と語った。首相は患者から治験参加への同意を得る手続きの様子や、治験のデモストレーションを見学した。

 宿泊療養施設を運営する県の黒岩祐治知事も同行し、病床の逼迫(ひっぱく)を防ぐ県独自の医療提供体制「神奈川モデル」について解説。首相は「優れたモデルを全国に横展開することによって、病床の確保につなげていきたい」と述べた。

 知事は取材に「飲み薬ができれば非常に大きな武器になるが、多くの患者さんが協力してくれないと承認に結びつくのは容易ではなくなる」と治験参加者の確保を課題として指摘。「現場では治験のために医療スタッフが常駐しており、体制を整えていることをアピールしていきたい」と強調した。

 県によると、塩野義製薬による治験は、県内の複数の宿泊療養施設で実施されている。

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