4球団競合の西武ドラ1・隅田…素顔は「つねなり」? 所沢のファンへ仲間がPR

今年のドラフトの「顔」となった隅田

今年も運命のドラフトが終わった。一番の人気銘柄は、西日本工業大の150キロ左腕・隅田知一郎投手(22)だった。抽選で交渉権を獲得した西武に加え、球界の盟主・巨人、現在セ・リーグ首位のヤクルト、広島と4球団が競合。大学ナンバーワン投手の呼び声にふさわしい「1位指名」集中だった。

隅田は長崎県大村市出身。同世代の県内有望選手が集う波佐見高への進学を自ら希望し、親元を離れて憧れの甲子園を目指した。高3夏に甲子園出場を果たしたが、当時は無名。西日本工業大で周囲が驚く急成長を遂げた。「カウント球、勝負球、すべての場面で変化球を投げられるところが長所」と、多彩に6種類の変化球を操る。

大学時代は、スカウト陣が集結する試合ほど好投を連発して評価を高めた。今年の全日本大学選手権では初戦敗退も、強豪・上武大を相手に14奪三振1失点の完投。ここぞの勝負根性は大いにプロ向きだ。

端正な顔立ちながら、どこか朴訥した話し方にギャップがあり、女性ファンのハートをくすぐりそうな隅田。「家族のために何かしたい。親が何も欲しいものがないと言うので」と、来春大学に進学予定の妹の学費を工面するという内面のかっこよさも併せ持つ。

そんな隅田を脇で支えてきたチームメートは「ファンに愛される選手に」と願った。波佐見高時代から7年間をともにしてきた村川大介内野手は「プレー以外でも西武ファンの方に愛される選手になってほしい。マウンドを降りると、お茶目でおっちょこちょいでドジな一面もある。プロでもそういうところを含めて、ファンの方々に親しまれる投手になってほしい」と盟友のプロでの成功を祈った。

チーム内では、NHKの大人気アニメ「はなかっぱ」に登場するキャラクター「つねなり」に似ていると話題で、キッズ向けに隅田をプッシュする声も。所沢のファンへのPRに熱心なチームメートの姿が、隅田の人柄を表していた。

慣れ親しんだ九州の地を離れ、厳しいプロの世界に挑む隅田。一生ついてまわる「4球団競合左腕」の重圧に負けず、獅子のエースを目指す――。

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