「岸田ショック」で始まる10月株式相場、今後はどうなる?過去の連続下落後を検証してみた

10月6日にかけて日経平均株価は8日間の連続安となりました。8日続落は2009年7月13日までの9日続落以来の12年3カ月ぶりです。

菅義偉前首相が総裁選に立候補しないことを表明した際には、日経平均株価は9月8日にかけて8日連騰しました。新政権の経済対策期待などから3万円台を回復していました。しかし新たに誕生した岸田内閣の支持率が低調で期待先行で上昇してきた相場が一巡したなか、米国債がデフォルトする懸念などの悪材料も加わったことが10月月初の相場急落の背景です。

米議会上院が連邦政府債務の上限を拡大する法案を可決したことで、米国債のデフォルトリスクがひとまず回避の見通しから、足元の日経平均株価は反発、8日は2万8000円台を回復しました。しかし株価が再び上昇トレンドとなるかは、不透明との見方が強まっています。
そこで今回は過去の株価連続下落後の相場は実際どうであったかを調べて見ました。


10月は株価が下がる?

10月の株式市場には米国発の気になるジンクスがあります。10月は株価が急落しやすいという“10月効果”です。1929年10月24日の木曜日は“暗黒の木曜日”と言われ、1930年代の世界恐慌が始まった日といわれています。

また1987年10月19日の“暗黒の月曜日“も有名で、NYダウが1日で22.6%も下落しました。年末が近づき、10月はちょうど、投資家心理がナーバスになりやすく、これが市場クラッシュの原因ともいわれています。

日本でも10月効果という呼び方は使われますが、“稲穂相場”と言われることもあります。9月から10月にかけてと言えば稲の刈り取りの時期です。相場を実った稲の刈り取りに例えて、年末が近づき投資家もそろそろ利益確定の売り(刈り取り)を出すことから、株式需給が悪化して急落につながりやすいということです。10月6日までの8日連続下落もこうしたジンクスに当てはまります。

実際に、今回のような日経平均株価の連続下落が1年のうちで何月に多いのか調べて見ました。第二次大戦後に東証が再開した1945年から今回を含めて、8日以上の連続下落は29回です。月別に回数を見ると10月が最も多く5回ありました。やはり10月は稲穂相場のジンクスの月であることが分かります。

連続下落後の相場は長期にわたって上がる?

さて、それでは今回のような連続下落後の相場は、過去を振り返って見るとどうだったでしょうか?実は、意外にも連続下落後の株価は堅調な推移を見せているようです。過去の8日連続下落後の日経平均株価の騰落率を見てみましょう。

連続下落が終わった日から10日後(概ね2週間後)までの騰落率を平均すると、2.0%とプラスとなっています。また、これまでの8日以上の連続下落は28回ありましたが、それらの下落直後の10日間の騰落率が上昇した割合(勝率)も64%となりました。

つまり、連続下落後は上昇する確率が高いということです。これは連続安での下げ過ぎに対する反動(自律反発)が背後にあると考えられます。

短期的な反発に留まらず、120日後(半年弱)までの比較的長いトレンドでみても、平均騰落率が6.7%とプラスとなっており、勝率も57%と上昇した回数も多い結果となりました。

株価が連続下落している期間に投資に対して“弱気姿勢”な投資家が売ってしまうため、行き過ぎた弱気の市場参加者が少なくなり、強気投資家の影響が市場で強くなるからとも説明ができるようです。

過去の検証結果をふまえると、年末から年度末に向けた上昇相場が期待されます。

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