北方領土・国後島の今を映し出す ドキュメンタリー映画「クナシリ」公開決定

ロシアが実効支配する北方領土の国後島の現状を、フランス在住の監督が追ったドキュメンタリー映画「クナシリ」が、12月4日より劇場公開されることが決まった。

「クナシリ」は、日本人が容易に足を踏み入れることができない北方領土の国後島で暮らすロシア人島民らの生活や島の様子を収めた作品。寺の石垣、欠けた茶わん、朽ち果てた船や砲台など、国後島のいたるところには第二次世界大戦の痕跡があり、島民らはそれらを土から掘り起こしながら、日本人との思い出も記憶から掘り起こし始める。日本人墓地は土に埋もれたまま無残に放置されており、島民らの生活圏も、整備が行き届いていない家やゴミが散らばり荒れ果ててているなど、忘れ去られた島のような寂しい風景も捉えられている。

監督を務めたのは、旧ソ連(現ベラルーシ)出身で、現在はフランスを拠点とするウラジーミル・コズロフ。ロシア連邦保安庁の特別許可と国境警察の通行許可を得て、国後島の現在を撮影した。

公開された予告編では、テレビ画面に安倍首相(当時)が「互いの信頼関係をより深め 平和条約を締結し…」とスピーチする映像から始まる。その後、島の様子が映し出されるほか、「ゴミだめしかない」「トイレがなくて困る」と厳しい暮らしを語る島民らの姿も収められている。

【作品情報】
クナシリ
2021年12月4日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:アンプラグド
© Les Films du Temps Scellé - Les Docs du Nord 2019

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