【ドラフト】オリドラ1椋木に重なる東北福祉大OBの姿 掲げる目標は「100勝100セーブ」

オリックスからドラフト1位で指名された東北福祉大の椋木蓮(左)【写真:高橋昌江】

福良GMの評価は「先発、後ろも考え、1番よかったのが椋木君」

オリックスからドラフト1位で指名された東北福祉大の椋木蓮投手が12日、仙台市の同大で福良淳一GMらから指名あいさつを受けた。大学では先発、中継ぎ、抑えのいずれも経験。その点を評価された最速154キロ右腕が掲げた目標は「100勝100セーブ」。日米通算で達成した同大OBの斎藤隆氏(横浜、ドジャースほか)のように活躍することを誓った。

運命の日から1日が経過。椋木は大学の学長室で福良GM、牧田勝吾編成副部長、山口和男スカウトグループ長、担当の上村和裕スカウトと対面。会見ではオリックスの帽子を被らせてもらい、中嶋監督のサインが入ったドラフト会議のIDカードとボールを手渡された。

両者の思いは一致している。「真っ直ぐが強く、変化球の精度が高い」と評価した福良GMは「うちの投手陣を見た時に先発、後ろも考え、1番よかったのが椋木君。入ってからの現場の判断に任せようと思うが、どちらでもいけると思います」と指名の狙いを説明。椋木も「自分の目標は先発も抑えもやること。チームもそういう風に思ってくださっているので、その期待に応えたいなと思います」と気合いを入れ直した。

プロでの目標は「100勝100セーブ」に定めている。先発と抑えの両方で活躍しなければ、残せない数字で、過去には江夏豊氏や大野豊氏が記録している。椋木は大学で先発、中継ぎ、抑えのすべてを経験し、今秋も先発した翌日の試合でリリーフしている。

内野手から投手に転向してドラ1指名はOBの斎藤隆氏と重なる

プロ志望届を出す段階になり、プロ入りが現実味を帯びてきた時、次のステージでの目標を考えた。先発で試合を作る面白さ、抑えで勝ち試合を締めくくるスリル……。夢は膨らむが、どちらも捨てきれない。そんなタイミングで、マネジャーから「100勝100セーブ」の記録があることを教えてもらい「ハマった。めっちゃいい、目指そうって思いました」。

「100勝100セーブ」を達成したNPB選手は過去6人。日米通算では上原浩治氏が成し遂げ、もう1人は、東北福祉大出身の斎藤氏だ。「OBの斎藤さんがやっていたので、驚きがありました。日米合わせてですごい」と椋木。山口県出身の椋木にとって、2015年に楽天でユニホームを脱いだ斎藤氏の現役時代の印象は強くないが、先輩の記録に「挑戦したい」と意欲が高まった。

斎藤氏は同大2年の時に内野手を“クビ”になり、投手に転向。速球派の大学球界を代表する投手になり、2球団から1位指名を受けて大洋(現DeNA)に入団した。椋木も高校1年までは内野手。打撃投手をしていた時に制球力を見込まれて投手に転向し、怪我明けの大学3年秋に140キロ後半から150キロ前半の快速球を連発してスカウトの評価を上げた。時期こそ違えど、似通ったサクセスストーリーを持つ。

目下、学生野球最後のリーグ戦中でチームはリーグ7連覇に向けて6連勝中。「東北福祉大はまだ秋の全国大会で優勝していない。自分の代で優勝し、後輩たちにつなげていけたらなと思っています」。仙台六大学、東北地区を制して、先輩たちが立てなかった明治神宮大会の頂点へ。現在首位を走るオリックスに日本一右腕として加わることがアマチュア最後の目標だ。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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