問題は野球指導者の方? 話を「聞いている子」と「聞いていない子」の違い

話を「聞いている子」と「聞いていない子」の違い

U-12日本代表トレーナーの川島浩史さん「まずは説明を子どもが理解しているか確認する」

First-Pitchでは指導のヒントとなる「ひきだすヒミツ」を連載中。今回は12歳以下(U-12)侍ジャパン日本代表でアスレティックトレーナー・川島浩史さん。日本代表に選ばれる選手でも習熟度、「考える力」によって差が生まれているという。

なぜ全員が同じ内容を聞いているのに、吸収できる選手とできない選手が出てくるのか。川島さんは、最大の理由に「話を聞いているかどうか」を挙げる。話を聞くというのは、相手の目を見て聞くことを意味しているわけではない。話を理解しているかどうか。大切なのは、話のポイントを理解し実践することだという。

意図を理解している選手は、トレーニングの効果が高くなる。習熟するには考えながら練習し、継続できるかが重要だという。小学生では一度で理解するのが難しい時もある。何週間、何か月と繰り返すことで習慣となり、自然と身に付いていく。

川島さんは子どもたちを指導する際に心掛けていることがある。

「まずは説明をした後に子ども達に実践させ、自分の説明を理解し、実践しようとしているか確認しています。上手くできている選手にはプラスαのポイントを伝えさらにレベルアップしていき、上手くできていない選手には何を意識しながら実践しているのかを聞き取っています」

アスレティックトレーナーの川島浩史さん【写真:荒川祐史】

考え方を押し付けていませんか? 子どもに合っているものを考えさせる

全員に同じ指導をするのではなく、個々に合った指導を心がける。そして、もう1つ。子どもたちにはポイントを絞って説明する。どんなに多くてもポイントは3つまで。1つ目のポイントを伝えて、子どもたちの理解度を見ながらポイントを増やしていく。ジェスチャーは大きめにしている。「目から入ってくる情報の方が理解しやすいので、見てイメージを膨らませて、説明が頭に入りやすいようにしている」と意図を説明する。

パフォーマンスアップにつながる考える力を伸ばすには、日常の教育が重要になる。川島さんは「大人がすぐに答えを教えたり、理由を説明せずに叱ったりするのか、それとも、子どもたちに考えさせるように促していくのかで大きな差が生まれます」と話す。

保護者に求められるのは「押し付けないこと」。保護者がテレビやインターネットで知った情報を鵜呑みにして、子どもにやらせるのは考える力が育たない。野球経験者の父親が、当時の教え方を子どもに伝えるのも逆効果だ。知識やトレーニングは10年、20年前と大きく変わっている。川島さんは「保護者自身も学び、実践して、子どもに合っているのかを考えてから子どもと共有していくのが大事」と訴える。

川島さんが“考える習慣”の大切さを説くのは、子どもたちの将来を見据えているからでもある。社会人やプロまで野球を続ける選手は、ほんの一握り。大多数は野球とは関係のない仕事に就く。「社会に出た時に、先輩や上司に言われたことだけやるのか。それとも、自分で考えて利益を生み出すのかは大きな差になります」。溢れる情報を取捨選択し、判断するためにも「考える力」は不可欠。子どもたちの今は、未来につながっている。

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