「マジメな話ですか?オンナの話ですか?」日本ハム・斎藤佑樹の初対面の一言に感じたスター性

今後の活躍が期待される日本ハム・斎藤(球団提供)

【取材の裏側 現場ノート】本人は絶対に覚えていないだろう。いや、覚えていたら超人だ。何しろ斎藤投手とは一度しか会ったことがない。何年もかけて密着してきた担当記者ではないが、あまりに衝撃的な出会いだったので記すことにした。

あれは斎藤投手がまだ独身だった2014年9月20日のこと。同年8月に9年半在籍したプロレス・格闘技担当から野球担当に異動したばかりの自分には、右も左も分からない状態だった。担当する球団もなく、いわゆる「遊軍」としてデスクの指示に従ってアチコチに出向いていた。

その日は斎藤投手が社会人チームを相手に先発する鎌ケ谷スタジアムへ。幸いにも本人にあいさつをする機会に恵まれ、名刺を差し出すと返ってきた言葉に度肝を抜かれた。

「今日はマジメな話ですか? オンナの話ですか?」

しかも、直近の二軍戦で3回8失点、5回4失点と炎上続き…。今も野球担当を続けているが、初対面でこんなぶっちゃけたことを言える人には出会ったことがない。

とんでもない“変化球”に頭が真っ白になりながら「初めましてですし、今日はマジメな話でお願いします」と返すと、立ち止まったまま野球に関する質問に真摯に答えてくれた。正直、あまりの衝撃で内容はまったく覚えていないが…(斎藤投手、申し訳ありません)。

しかし、緊張の対面を終え、さまざまな思いが駆け巡ったことはよく覚えている。「ウチの担当は普段からどんな会話をしているんだろう」と思いつつ、気づかされたのは「やっぱり甲子園のスーパースターはモノが違う」ということ。高校時代から日本全国の注目を集め、数多くのメディアに囲まれてきた。それだけに、各媒体の特色やカラーを熟知し、好みそうな切り口を用意できる。その頭の回転の速さ、瞬時に人の心をつかむトーク術はこの先どんな道に進んでも成功につながると思う。

斎藤投手、その節はありがとうございました。これからも東スポをよろしくお願いします。本当にお疲れさまでした。(現巨人担当・大島啓)

© 株式会社東京スポーツ新聞社