【世界体操】引退示唆の村上茉愛が床で暫定首位!「いろんなプレッシャーで足がガクガク」

村上茉愛(東スポWeb)

体操の世界選手権が18日、北九州市立総合体育館で開幕し、女子の予選で日本代表が第5班で演技を行った。

今大会を最後に引退がささやかれる東京五輪種目別床銅メダルの村上茉愛(25=日体クラブ)は平均台と床の2種目に登場。左足首を痛めている中、得意の床では冒頭でH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)を決め、東京五輪銅メダル獲得時と同じ14・166点をマークし、演技終了時点で暫定トップに立った。

久々の有観客開催で観客の声援を浴びた村上は「いろんなプレッシャーがあって緊張し、足がガクガクな状態だった」と明かしたが、それを拭い去らせたのが東京五輪にはなかった「観客の力」だった。

「準備不足で不安だったけど、お客さんの応援の力で今日は助けられた。すごく身近な人が応援に来てくださり、本当にお客さんがいる幸せを感じた。これこそが試合だって思うような空間が楽しめた要因の1つだった」

会場には体操を始めた幼少期から支えてくれた母・英子さんの姿があった。いつものように試合前に連絡を取り、平均台の演技前に姿を確認。「心配しなくていいよっていう演技ができて安心してもらえたと思う」。母の見えない力が演技で発揮された。

今大会を最後に現役を退く可能性が高い。東京五輪は「集大成」と位置付けたが、今大会が日本開催となったことで引退を取りやめ。「自分のため」に演技した五輪と違い、今回は「自分のためではなく、人のために演技をしたいという目標がある」と何度も心に誓った。

「みんながすごく楽しんで見てくださっているのが聞こえてきて、私が目標としている〝人のために〟〝人が感動する演技〟ができているなって実際に感じたので、すごく楽しかったです」

今回が最後の演技か?と問われると「そう言われると、そうですね。感情がすごく…いろいろ考えたりするんですけど」とほほ笑み「本当に1回1回を全力でやっている。その1回を無駄にしないような最高の演技をしたいなと思っています」と話した。

予選は19日も行われるが、床の決勝進出は濃厚。最後に「金」で締めることができるか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社