近年、サッカー界で重要なポジションとなっている「サイドバック」。
かつてのような守備能力だけではなく、走力やスピードを生かした攻撃参加、さらに近年はビルドアップ能力まで求められるオールラウンドなポジションとなった。
5バックの流行もあり、アタッカーを務めていた選手がサイドバックにコンバートされることも近年かなり目立つようになっている。
そこでQolyでは「アタッカーからサイドバックにコンバートされた選手に聞いてみた」コーナーをスタート!最初のゲストはFC琉球に所属している田中恵太選手だ。
今季本格的にサイドバックへとコンバートされ、前半戦で活躍を見せた田中選手。この取材の後に大きなケガを負ってしまったのが残念だったが、彼はどんな思いでディフェンダーでのプレーに臨んでいたのか?
――コンバートされたのがいつかっていうのは覚えてらっしゃいますか。
2シーズン前の最後の方からトレーニングや試合の負けている時間帯の数分でプレーしていました。
本格的にやる感じになったのは去年の中断明けぐらいからです。中断の期間でちょっとトレーニングしてって感じですかね。
サイドハーフとしての出場機会が昨年夏以降少なくなると同時に、サイドバックのケガ人が出て。チャレンジしてみてくれと言われて、もうこれは生き残るために、もう死ぬ気でやらなきゃ駄目だなと。
やりたいとかやりたくないとかではなく、やらなければ絶対生き残れないと思いました。サイドバックとして絶対ポジションを勝ち取るんだという強い気持ちが出てきたんです。
――サイドバックで生かせる武器は?
ランニングですね。サイドハーフやってるときも、この裏へのランニングが自分の長所でした。
サイドバックをやっても相手の背後を狙います。ちょっと距離は長くなりますけど、ここは絶対僕の強みになるとわかっていたので、それを出し続けようというのはありました。
――サイドハーフと違いは?
プレッシャーですね。視野がかなり違います。
360度の視界でプレーすることはなくなったので、前よりは少し余裕が出たかなと思います。攻撃の部分で言えば、よりボールが持つ時間があるという感覚です。
守備の部分は、やったことがなかったので最初は不安がありました。
ただセンターバックやサイドハーフの選手とコミュニケーションをとったり、映像で何回も繰り返し見たりとか、それで徐々に慣れてきて、そんなに今は違和感もなくなりましたね。
去年に関しては、試合がどんどん続けて来たので、短期間に多くの試合をこなせました。
その中で、とにかく良いポジショニングを取らなきゃいけないということを意識しています。
ボールの周辺ばかり見てしまうことが多いと思うんですけど、僕は元々試合を見るときに、全体像を見ることが多いんです。自然と11対11の感覚で見ることが多かったので、すんなり(サイドバックに)入れたっていうのはあるかもしれないですね。
だから、実はあまり変わってないかもしれないですね。サイドハーフをやってるときに「サイドバックにはこういうことをやってもらいたいな」って思ったことを逆にやるようにしてます。
――パートナーについては?
風間宏矢はボール持てて上手な選手なんで、簡単に預けて僕を使ってもらうような感じでイメージしています。僕はいいタイミングで追い越して一つの選択肢になれれば。
簡単にこちらを使ってくれるんで、僕がペナルティエリアの中に入ったり、クロスやシュートを出せる場面が多くなっているのかなと。長く一緒にプレーできている分、とてもスムーズですね。
――アタッカーに戻りたいと思うことは?
サイドの選手が疲れてるときとかに、追い越してゴール入りたいなと思うときあるんですけども、我慢していますね。
これ、よく聞かれるんですよ。本当はサイドハーフやりたいんじゃないの?と。
ただ、どちらかというと僕は「自分の価値が上がるのはどっちかな」っていう感覚の方が強いんです。と考えたら、今はサイドバックで出た方が自分の選手としての価値は上がるんじゃないかなと思っています。
【写真】旗手怜央も!「アタッカーからサイドバックになった名選手」
残念ながら怪我で今季は出場が不可能となってしまった田中恵太選手。しかし復活したあとには再びサイドバックとしての活躍を見せてくれるに違いないぞ。