【東京五輪】選手だけじゃない 延期で強いられたステークホルダーの“ギリギリの戦い”

イベントに出席した石川佳純(シスコシステムズ提供)

コロナ禍で史上初の1年延期となった東京五輪。選手や競技関係者のみならず、多くのステークホルダー(利害関係者)も〝ギリギリの戦い〟を強いられたという。

大会終了から、はや2か月半。五輪スポンサーでネットワークシステムのサービスを行う「シスコシステムズ」の鈴木和洋代表執行役員会長はスタッフのモチベーション維持に苦労したと明かす。「(延期によって)マラソンでいうと、あと5キロぐらいでゴールと思って走っていたら、20キロ先にゴールが行ってしまったというイメージ」。開幕が近づくと開催の是非を問う意見も上がり「反対という人もたくさんいた」とした上で「世論があっちにいったり、こっちにいったり動くのを見ると、大会に携わっている人たちの心も揺れる。われわれとしては、そうして〝揺れた心〟をうまくケアしてあげないといけなかった」と語った。

〝開催中止派〟の立場からすると、スポンサー企業にはマイナスなイメージがついたかもしれない。このような背景も踏まえ「本当に難しい大会でした」と話すのは同社のマーケティング担当者。特に五輪期間中は「CMを打つべきか、控えるべきかは本当に悩んだところが多くて。やはり反対のご意見も多かったので、そこにも耳を傾けながら、その中でできる限りプロモーションさせていただいた」。それでも「総括すると、やはりやらせていただいて本当によかった。会社としてはパリ(五輪)にマーケティングのアクティビティーをつなげることができたので非常に意義深いと思う」との見解を示した。

21日には同社のアンバサダーを務める卓球男子団体銅メダルの張本智和(木下グループ)と同女子団体銀メダルの石川佳純(全農)がイベントに登場。選手同様にいろいろあった東京大会でひと区切りの企業もあるが、同社は3年後に向けて歩き出している。

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