デンカ株式会社が新型コロナウイルス抗原迅速診断キットを11月から米国市場で販売開始

「SPERATM COVID19 Ag Test」

デンカ株式会社(東京都中央区)は22日、新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ™-COVID-19 Ag」の米国展開について、提携先のXtrava Health社が12日に米国食品医薬品局(FDA)より緊急使用許可を取得したと発表した。米国市場では、製品名「SPERA™ COVID-19 Ag Test」として11月からXtrava Health社を通じて医療機関向けに販売される。

Xtrava Health社は「SPERA™ COVID-19 Ag Test」の発売実現に向け、3月5日にアメリカ国立衛生研究所(NIH)とRADx(新型コロナウイルス感染症の検査において、正確で迅速かつ簡易な検査技術の開発と製品化に向けたイノベーションを加速させることを目的にNIHが設けた研究支援制度)に基づく契約を締結。デンカの全面協力のもと、Xtrava Health社が進めてきた臨床試験において、同キットに十分な性能が確認されたことを受け、今年8月にFDA緊急使用許可申請を行った。

FDAガイダンスに基づき独立医療機関で実施された臨床試験では、「SPERA™ COVID-19 Ag Test」は15分以内に新型コロナウイルス抗原の有無を検出し、検査感度92%、特異度97%と高い検出精度を持つことが確認された。また、NIHからの助成のもと、エモリー大学、ジョージア工科大学、アトランタ小児医療センターと共同で実施した研究では、デルタ株、ラムダ株、ミュー株などの主要な変異株との反応も確認された。

現在、世界各国でデルタ株などの変異株による新規感染者が継続して確認されており、米国では介護・教育施設や自宅などでの検査体制の拡充や、インフルエンザウイルスとの同時流行に備えた検査システムの研究開発が推奨されている。デンカでは引き続きXtrava Health社と連携し、抗原迅速診断キットと、Xtrava Health社が開発中のリーダーで診断キットの結果を読み取る「コンパニオン・デジタル・テスト・プラットフォーム」を組み合わせることで、感度や使い勝手、検査精度向上を図り、一般にも簡易に扱えるOTC市場への導入を目指していくという。

さらに、8月に日本国内で販売を開始した、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを1つのデバイスで10分以内に同時判定する抗原迅速診断キット「クイックナビ™ -Flu+COVID19 Ag」についても、米国市場への供給を目指して Xtrava Health社との連携を強化し開発を進め、同時に、アジアなどほか海外地域においても、各国の薬事申請手続きを踏まえ新型コロナウイルス抗原検査キットの供給を進める。

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