新潟県長岡市、長岡高専、長岡技大、長岡造形大がKDDIと連携協定、先端技術とデザイン思考で地方創生を加速

左から、新潟県長岡市の磯田達伸市長、長岡工業高等専門学校の原田信弘校長、長岡技術科学大学の鎌土重晴学長、長岡造形大学の馬場省吾学長、KDDI株式会社経営戦略本部の宇佐見典正副本部長

新潟県長岡市と長岡工業高等専門学校、KDDI株式会社(東京都千代田区)が2020年8月5日に結んだ「地方創生に向けた産業創造連携協定」へ、新たに長岡技術科学大学と長岡造形大学が参画し、5者による協定締結式が22日、アオーレ長岡で開催された。2大学の専門的な知見も取り入れ、先端技術とデザイン思考による人材育成と、地域産業のDX加速を目指す。

長岡市と長岡高専、KDDIは2020年に地域人材の育成と産業振興の観点で協定を締結。同校とアオーレ長岡にau5G基地局を設置し、産業創造・産業活性化を目的とした5G体験デモ開催ほか、AIなどを得意分野とするソフトウェア開発企業、株式会社KUNO(東京都港区 長岡市内にサテライトオフィスを設置)や、現役高専生による株式会社雷神へ、事業成長へ繋がる支援をするなどの活動を行ってきた。

今回はこの取り組みへ、高度な技術力を持つ長岡技大と、デザイン思考を実践する長岡造形大が参画。KDDI株式会社経営戦略本部の宇佐見典正副本部長は「デザイン思考は、いかに課題を見つけてそれをビジネスに繋げていくか、という考え方。一緒に学生にも学んでいただき、地域の企業と新しいソリューションを生み出す取り組みをしていきたい」と話し、5Gを利用した遠隔教育や地元企業との連携による課題解決、さらに開館へ向け準備が進む複合施設「米百俵プレイス ミライエ長岡」での展開を語った。

新潟県長岡市の磯田達伸市長

宇佐見典正副本部長による取り組み内容の解説

長岡市の磯田達伸市長は連携について「長岡市内では実用的な通信環境はすでに整備されている。しかし、通信環境が5G、そしてさらに次世代まで進んでいくことを考えると、こうした技術は積極的に取り入れ、整備しておく必要がある。そういった意味でもKDDIとの連携は長岡の将来にとってメリットになってくる」と話し「(5Gを利用した)遠隔医療などの形で中山間地の高齢者にとっても有用になっていく。そうした5Gを利用したサービスが、行政としても実現できていけたら」と展望を語った。

また今回は市内の複数の学術機関が参画する協定となったことが特徴的だが、「従来、学術機関は産業界とは一線を画す面があり、以前は市内でもこうした大規模な連携は無かった」という。「現在は、(学術的な知見は)社会に実装されて人のためになることが重要だと長岡の4つの大学では共有され、起業・創業やイノベーションといった話はむしろ大学側からの提案も増えている。良い形になってきたという印象」だとも磯田市長は話す。

新潟市や上越市でも5Gを活用した商品・サービス開発の拠点が開設され、県内全域でDXと、それを活用した地域創生の機運が急速に高まっている。長岡では今回、市内の多様な学術機関が関わっているが、こうした各地域の特徴を生かした独自の動きにも注目していきたい。

(文・鈴木琢真)

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