こんにちは。キャンプ系YouTuberのFUKUです。話題の無印良品「Found MUJI」から発売された折り畳みナイフをやっと手に入れましたので開封レビューします。無印良品の折り畳みナイフはシンプルでバランスの良い肥後守ナイフだった!?無印良品ナイフのスペックを他の肥後守ナイフと比較して紹介します。
無印良品の『Found MUJI』シリーズ「折り畳みナイフ」
以前無印良品の新作を紹介した時に「折り畳みナイフ」も発売されていて、その時は取り寄せ中で手元になかったのでご紹介できていませんでした。
今回ようやく手に入れましたので、ご紹介していきたいと思います。
こちらが無印良品の「折り畳みナイフ」です!!!
この「折り畳みナイフ」は、『Found MUJI』シリーズの商品になります。
『Found MUJI』をご存知ない方は、ぜひこちらの記事で詳しくご紹介しておりますのでご覧くださいませ!
永く、すたれることなく生かされてきた日用品を、世界中から探し出し、それを生活や文化、習慣の変化に合わせて少しだけ改良し、適正な価格で再生する。
良いものを探す目を磨き、そのもののエッセンスを残しつつ、それらを現代の生活に合わせて仕立て直していく活動です。
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『Found MUJI』は、世界各国の生活文化に注目してその中から無印良品が良い物を厳選して紹介しているシリーズです。
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今回『Found MUJI』シリーズで、アルミ製の飯盒やシェラカップ、カトラリーセットのような金属製のアウトドア用品が出されていますが、どれもシンプルで無機質なデザインのものがチョイスされています。
この「折り畳みナイフ」もまさにそんな感じなんです。
※今現在『Found MUJI』シリーズは、専用通販サイトと大型基幹店のみの取り扱いとなっていますのでご注意ください。
それでは早速開封していきましょう。
無印良品の「折り畳みナイフ」は肥後守ナイフだった!
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筆者の父親くらいの年代の人はみんな持っていたんじゃないかと思われる日本の伝統的なナイフでございます。
じゃじゃん!!!
そう、肥後守(ひごのかみ)ナイフなんですね!!!!
今回無印良品が「折り畳みナイフ」という商品名で発売したナイフ、日本のオピネルという別名もついているような和製折りたたみナイフでした。
無印良品「折り畳みナイフ」の概要
- 価格:1,290円(税込)
- 長さ:約11cm/伸長時17cm
- 材質:刃;炭素鋼、ハンドル;鉄
- 日本製
※OEMで無印良品ナイフとして発売されているようなのですが、永尾かね駒製作所の肥後守で間違いないと思います。
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この銀色に光る金属製の鞘に折り畳んだ状態でナイフの刃が収められています。
鞘には『肥後守定駒』と特徴的な登録商標名が刻印されております。
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特徴的なのはこの「チキリ」と呼ばれる親指で押さえるパーツですね。
刃の長さを確認しておきましょう。
刃の長さは7.5cm。
一番幅のあるところで、幅が1.4cm。
刃の厚みは約2mm。
続いて重さは42.1gでした。
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⚠️注意⚠️
こちらは刃渡り6cmを超えていて、意味もなく持ち歩いていると銃刀法違反になります。
肥後守ナイフの中にはもっと小ぶりなサイズもありますが、銃刀法違反にはならなくても結局軽犯罪法に引っかかったりします。
どちらにしてもこういう物を持ち歩くことは現代ではできませんので、カッコいいと思ってもポケットに入れてそのままコンビニなどに行かないようにご注意ください。
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それにしても無印良品はこいつを選んだか〜という感じですね。
『Found MUJI』肥後守ナイフとは?
『Found MUJI』の日本の金属シリーズですが、パンフレットに今回の「折り畳みナイフ」が紹介されていました。
金物の街・兵庫県三木市で製造されている折り畳みが出来るナイフです。1890年代から現在の形状のナイフが製造されるようになったと言われています。部品が少なく壊れる箇所が少ないので、長く使用できます。
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工場で作っている時の様子の一枚なんでしょうね。
この鉄の塊がまさにこれからナイフへと姿を変えていく前の状態だと思われます。
以前アウトドアブランドのロゴスさんが永尾かね駒製作所とコラボして作った肥後守ナイフシリーズがありまして、筆者のチャンネルでも少し前にご紹介していました。
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筆者は昭和54年生まれですが子どもの頃にこのナイフを使っていたり周りにあったという記憶はなく、昭和28年生まれの筆者の父親だといつもポケットに入れて持っていたと話をしていましたのでその年代の方々から見ると非常に懐かしいナイフじゃないかと思われます。
以前の動画のコメントでも、「よく持ち歩いて遊びに使ってました」「先生が転勤でお別れする時にみんなにプレゼントしてくれました」なんていうエピソードを書き込んでくださった方もいらっしゃいました。
やはりそういう生活の一部になっていて、今こうしてまた見直すと懐かしさとともに色々なエピソードが出てくるようなナイフなんですね。
それを今回無印良品が文化的な側面の紹介と共に発売してくださったということですね。
▼「ロゴス」とコラボの肥後守ナイフの動画はこちらから
刃を水研磨した後、グラインダーで研磨して中心にある鋼の刃を出し、形を整えます。研磨は仕上げの研ぎを含めて、3回行います。刃の表と裏を丁寧に研磨することで、鋭い切れ味に仕上げます。
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『中心にある鋼を出し』という表現に疑問を持った方もいるかもしれません。
この肥後守ナイフは全てではありませんが、特殊な多層構造になっている刃が作られているんです。
この辺りの話は、後半で色々なモデルと共に紹介していきたいと思います。
切れ味を良くするために、800 ~ 850°Cのバーナーで刃になる部分を焼きます。焼いた後は油に入れてゆっくりと温度を下げます。温度が高くなりすぎると硬くなりすぎて刃こぼれしてしまうため、職人が慎重に作業を行います。
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右側は焼き入れをしていますね。
こういう感じのバーナーでやってるんだ。
隣にはこれから焼き入れをする刃がたくさん積まれているようです。
こういった手作業の工程で作られているということなんですね。
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以前紹介した動画でも、兵庫県三木市の刃物の歴史について少し触れていますが、昔はこういった肥後守のタイプのナイフを作っている製作所がたくさんあったそうです。
時代の流れと共に刃物を気軽に持ち歩くことができなくなってしまい、カッターナイフや段ボールカッターなど軽作業に使えるような刃物もより簡単・安全に使えるような器具が発達してきたので、今ではこの永尾かね駒製作所だけになっていると思います。
こういうのを見ると、廃れることなく長く続いて欲しいもんだなと思いますね。
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今回の無印良品のシリーズはこういった歴史文化に関わるストーリーと共に紹介してくれているので、すごく無地さんらしいなと思うし良いやり方だなと感じるんですよね。
筆者でもYouTubeやってなかったらこの肥後守ナイフを多分知ることがなかったし、よくわからないけどカッコよさげなナイフだな、で終わってたと思います。
こういった歴史、製法と文化的な関わりを絡めて紹介してくれているのは、筆者を含めてこのナイフを知らない世代が多い現代においてなかなか面白い売り方だと思います。
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筆者も肥後守ナイフを使っていた世代ではないし、親から教えてもらったり以前ロゴスの肥後守ナイフをご紹介した時に詳しい視聴者さんから色々なことを教えてもらったのでそのくらいの知識がメインになりますが、若い世代の方は肥後守を全然知らない人が多いと思うので、無印良品から発売されたこの機会にこそ、拙い知識ですがみなさんに還元しながら説明していきたいと思います。
他社の肥後守ナイフとスペックを比較します
この肥後守ナイフ、詳しい方はこれを見てどのくらいの物なのかが分かると思いますし、全く知らなかったという方は新鮮味を持って見ていると思うのですが、何となく肥後守を知っている方はこの銀色以外に色々なタイプがあることを少し知っている人も多いと思います。
鞘が黒いものも値段も安く売っていたりして、色が違うだけならカッコいいブラックがいいなみたいに考える人もいると思うのですが、実はナイフ自体のスペックが全然違うんです。
というわけでここからは、Amazonなどで購入した他の肥後守ナイフと比較しながらご紹介していきたいと思います。
比較するのは以下の4種類です。
- 「肥後守クロームナイフ 全鋼・割込」
- 「無印良品 肥後守ナイフ」
- 「肥後守 VG10ステンレス製ナイフ」
- 「肥後守 青紙割込 真鍮」
1.「肥後守クロームナイフ 全鋼・割込」
まずは今回Amazonで新しく購入した黒い肥後守ナイフです。
2本ありますがそれぞれ仕様がちょっと違うんです。
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鞘は同じです。
これかっこよくて黒く塗っているというわけではなく、パーカー処理という錆止めの被膜処理をした色なんです。
調べてみると、錆止め効果としてはそこそこあるというレベルです。
おそらくコストが安いんでしょうね。
刃を出してみます。
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新品だとこのカシメというつなぎ目が結構強めに締められているので、チキリを押さえるだけで簡単に開くことは出来ないんですね。
結構硬いです。
刃が濡れているのは錆止め油が塗られているからですね。
キッチンペーパーで拭いちゃいます。
こちらの「全鋼」タイプの刃は、そのまま全部炭素鋼で作られています。
もう一方の「割込」タイプの刃は、上部に何か線が入っているのが分かりますでしょうか?
実は「割込」の方は三層構造になっていて、真ん中に硬い炭素鋼が入っていてその両側を柔らかい軟鉄で挟み込んでいるんです。
ですので「全鋼」にはない線のように見えるものは、その素材の境界線なんだと思います。
「割込」タイプには「本割込」と刻印されています。
「全鋼」と「割込」だったらどちらがいいかというところですが、用途によってなんとも言えないところもありますが、「割込」の方が割れや折れに強いと言われています。
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以前教えてもらった記憶で「全鋼」タイプは鋼の種類が違うと教わったんですが、やはり「割込」の真ん中に入っている硬い炭素鋼と「全鋼」の炭素鋼は種類が違いました。
「全鋼」はS55Cと呼ばれる工業用の炭素鋼が使われていて、約0.55%の炭素が含まれているという鋼材です。
一方「割込」の真ん中の硬い部分が、SK鋼という家庭用の包丁にも使われている硬さと切れ味とメンテナンスのバランスの良い鋼材が使われているそうです。
なので「割込」の方が基本的に価格が少し高めになっています。
好みは色々だと思いますが、段ボールとか梱包とか紐を切るくらいの軽作業で事足りる方もいるだろうし、より切れ味が欲しいという方は「割込」を選んだ方がいいと思います。
使いはじめはカシメの部分が結構固いんですが、使っているうちにだんだん緩くなってきて終いには傾けると刃が倒れてくるほど緩くなってきてしまいます。
そういう場合はカシメの部分の丸いポッチを下にして、金属板のような硬い物の上に乗せて小さなハンマーでコンコンと叩いてやれば、カシメを締め直すことができます。
あまりガンガンやってしまうとかなり硬くなって戻せなくなるので、具合を見ながらやってあげればいいと思います。
使用の際は、チキリと呼ばれる金具を必ず親指で押さえながら使うようにしてください。
よくある折り畳みナイフに付いているロック機構はありませんので、押さえていないと危険です。
新品の頃は結構固く締められているので押さえていなくても使えそうな気がしますが、だんだん緩くなってきます。
押さえないまま使っていると何かの拍子で握っている指に刃が倒れてきて危ないですので、必ずチキリを押さえて使うようにしてください。
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というわけで、「なんだ無印良品のナイフは肥後守ナイフか。肥後守だったら1,000円以下で買えるこいつらをAmazonで買った方がいいじゃないか。」という考え方もできるんですが、無印良品のナイフはもうちょっとグレードが高いんですよね。
2.「無印良品 肥後守ナイフ」
無印良品の肥後守ナイフ、まずは鞘の部分。
この銀色がギラギラしていてめちゃかっこよくないですか?
こちらはニッケルメッキがされている鞘になります。錆止め効果は先ほどのパーカー処理より高く、鞘のグレードがアップしています。
実際に普段から使っている方が手の脂なんかが移ってより錆びにくくなるそうですので、そうやって使った方がいいと思います。
※ニッケルメッキタイプの肥後守は無印良品以外でも多く売られています。
刃には本割込と刻印されていますので、家庭用刃物にも使われるレベルのSK鋼を軟鉄でサンドしてあります。
ちなみにこのSK鋼は58という硬度がありますので、まあまあいい切れ味があるんだと思います。
※おそらく割込で鋼部分はSK鋼だと思われますが、無印良品の販売ページでは鋼材名まで記載されていませんので、一部仕様が異なっている可能性もあります。
ちょっと何か紙を切ってみます。
箱出しでこんな切れ味なんですけど、肥後守ナイフは研ぎやすいように作られているのでやはり研ぐことでさらに切れ味が良くなってくると思います。
メンテナンスをしながら長く使ってくださいよ、ということだと思います。
一応すぐに使えるように実用レベルの切れ味には仕上げてあるとのことですので、軽作業なんかにはすぐ使うことができます。
キャンプで使うにしても、調理はあまりしない方がいいかもしれません。
無印良品の肥後守ナイフも鞘はニッケルメッキ加工がされているものの、刃が炭素鋼で鞘も鉄ですので、カシメの部分にも水分が入り込んでしまうので、キャンプの食材を切るナイフに使っているとすぐに錆びてしまうと思います。
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オピネルでも食材切るならステンレスの方が断然いいじゃないですか。
あー、でもオピネルだと黒錆加工している人がいますね。
あまり考えたことなかったけど、肥後守ナイフでも黒錆加工をする人がいるんでしょうか?
ちょっとわかりませんが、このままキャンプ用の食材を切るナイフにしていると錆びやすくて向いていないじゃないかと思います。
調理するなら次にご紹介するステンレスタイプの方がいいと思います。
3.「肥後守 VG10ステンレス製ナイフ」
こちらは筆者が使っているロゴスコラボにもあるような「VG10ステンレス」タイプの肥後守ナイフです。
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以前YouTubeでロゴスとコラボしていた肥後守ナイフをご紹介したことがありました。
筆者はロゴスとのコラボのやつを一度失くしてしまって、気に入っていたのでもう一度買いなおそうと思い色々調べたら、ロゴスのコラボではない全く同じタイプがAmazonで安く買えるということを知ったので、コラボではない全く同じものを購入しました。
ステンレス製でロゴスのマークが入っていないやつです。
他のものに比べて、錆びにくさが全然違うと思います。
VG10で非常に硬くて切れ味の良いステンレス製の刃物になります。
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ステンレスなので錆びないのかと思いきやそんなことはなくて、錆びにくいだけです。
筆者は普段からアウトドアで水に濡れちゃうような作業にもガンガン使っているので、やっぱり今開いたら錆びてますよ、、、。
錆びにくいだけで錆びないわけじゃないんですね。
軽い錆を見つけた時にはピカールなんかで磨けば落とせると思います。
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磨くと大体は綺麗になりましたね。
しかも全体的にちょっと美しくなりました。(笑)
▼「ロゴス」とコラボの肥後守ナイフの動画はこちらから
4.「肥後守 青紙割込 真鍮」
あとは以前動画でも紹介したロゴスのグレードの高い真鍮製の肥後守ナイフです。
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こちらの真鍮製の肥後守ナイフは筆者の父親が懐かしそうに見ていたので、そのままプレゼントしちゃいました。(笑)
鞘が腐食しにくい真鍮で出来ています。
とは言っても黒ずんだりはしてきますが、真鍮だとちょっとした味に繋がったりもしますよね。
そしてあのタイプは「青紙割込」と刻印されていて、真ん中の硬い鋼材を軟鉄で挟んであるところまでは割込と同じですが、その硬い鋼材に日立金属の安来鋼という高級素材を使用しています。
硬度もSK鋼の58に比べて、62というとても硬くて切れ味が鋭い鋼材になっています。
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父親も昔ポケットに入れていたナイフとは全然違う代物だとは思います。
肥後守ナイフ 比較まとめ
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全鋼タイプの炭素鋼のナイフでしかも鞘まで鉄でできているタイプは錆びやすいので、食材を切るのにちょっと向かないとは思いますが、薪を削ったりロープを切ったり軽作業で使うナイフとしては便利じゃないでしょうか。
普段軽作業でカッターナイフの代わりに使うだけなら「クロームナイフ」のような安いタイプ
より鋭い切れ味とロマンを求めるなら「青紙割込 真鍮製」のような高級タイプ、
といったところでしょうか。
様々なグレードがある中で、今回の無印良品のナイフを見てみると、
- 刃は本割込のSK鋼
- 鞘は錆びにくいニッケルメッキ仕様
- 色合いもシルバーでシンプル
- 価格も1,290円
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アウトドアの雑用ナイフとして使うなら性能も価格もほどほどで、他の肥後守ナイフと比べても良いところのグレードなんじゃないでしょうか。
まとめ
今回は無印良品から新発売となった折り畳みナイフ、中身は日本の伝統的な肥後守ナイフでSK鋼の本割込と錆びにくいニッケルメッキの鞘の組み合わせになったとてもシンプルなナイフでした。
キャンプなどのアウトドアの場面でこういった味のあるナイフを使ってみるというのも、一つの楽しい体験になるのではないでしょうか。
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皆様のキャンプ道具選びの何かの参考になれば幸いです。これからキャンプに行かれる方はお気をつけて行ってらっしゃい!
こちらの記事で紹介した内容は、動画でより詳しく見ることができます!ぜひチェックしてみてください!
▼YouTube動画はこちらから
▼「Found MUJI」の詳細はこちらから
※今現在『Found MUJI』シリーズは、専用通販サイトと大型基幹店のみの取り扱いとなっていますのでご注意ください。